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空手道 佐山塾10

[623] ハバネロベッパー 2014-03-16投稿
やっぱり…
師範は俺を覚えていなかった。
それはそうだろう。 ま、かえって助かる。

俺は一通り現場を確認して社に戻ろうと車に向かっていると、師範の話し声が聞こえてきた。

それにしてもあのカレーはうまかったなぁ〜

ん?カレー?

押忍、でも師範まずいっすよ…カレー食ってて遅刻したなんて…

バカ、何チマチマした事言ってんだよー そんな事じゃ大した人間になれないんだよー
どっしり構えろ!
せっかくうまいカレー屋が出来たのに食わないなんてもったいないないよ!

押忍、でも、この前もお好み焼き食ってて三時間近く遅刻しましたからね…
いくら何でもまずいっすよ…押忍

現場なんて何とでもなるんだよーっ
食えるときに食う! いつ死ぬかわからないんだよー人なんてー

ハァ?
カレーだ?お好み焼きだ?
現場なんて何とでもなるんだよーだ?

俺は怒りがフツフツと湧き上がってくるのを感じた。

オイっ!なんだ遅刻した理由はカレー食ってたからなのかっ!

俺は自分でも驚くくらいデカい声を張り上げた。

びっくりしたように師範達が俺を見た。
まぁいいじゃない、堅いこと言うなよー
師範はふざけたように笑った。

俺は完全に切れた。

なめんじゃねーぞっ!
てめえ仕事なんだと思ってんだよっ!
みんな必死で働いてんだよっ!
てめえのようなバカがいるとな、迷惑なんだよ!

クワッと師範の顔が紅潮した。

おいっ若造!
誰に口きいてるんだっ!

てめえだよっ!てめえ空手の師範だかなんだからしいけど、そんな資格ねーな! あ?人に偉そうに説教でも垂れてんだろ?
礼儀だの何だの?
てめえ自身が礼儀わきまえろ!

俺はこの時、K先輩が師範代やら師範に辱められていた場面を思い出していた。

若造!俺にそんな口きける人間はいないんだよ!

はぁ?
俺はきけるよ!
てめえの会社は今ここで契約解除する!
いいか若造!
お前の社長は俺の幼なじみだぞ!
そんな事したらお前クビだぞ!

だからどうした?
もし社長がこの件で俺をクビにするようなら俺から辞めてやるよ!

ふん!覚えてろよ若造!

師範は激怒しながら帰っていった。

なかなかやるなアンタ!
大したもんだねぇ! 気に入ったぜ〜

現場監督が満面の笑みで歩いてきた。
職人達も一斉に俺に拍手している。

何だ?

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