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幸運の女神-第二部 13

[441]  朝倉令  2006-09-22投稿


「じゃ、余裕ができたら顔見せろよ」


「うん… ゴメンね〜っ、忙しい時に来れなくてさぁ」


「いや、俺らも時間作って遊びに行くからさ、そん時は案内バッチリ頼むぞ?」


「うん♪ 任せて」



俺、倉沢諒司は品川恵利花に『学園祭の準備でちょっとの間休む』と聞かされたばかりだ。


まァ、オーナーの手島美和からお店を任されているとはいえ、見習いマネージャーの俺。


まさか当日店を放ったらかしという訳にもいかない為、オーナーの美和に話だけ伝える予定でいた所、たまたま本人が顔を出してきた。





一応日程を伝え終わった後、美和が思いがけない提案をしてきた。



「あら、じゃあその日は臨時休業でいいわ。

いつもみんな頑張ってくれてるから、たまにはお休みにしたら?」


「…本当ですか?」


「ウフフ、…その日は必ず『何か』が起こるわ」


「え?何かって一体…」



手島美和は、例の意地悪そうな笑みを浮かべるだけで答えてくれない。



…このパターン、はっきり言って、想像もつかない様な事件が起こるのでは?…と一抹の不安が頭をよぎる。




 ところで、エリカの抜ける期間は友人の九里(くのり)真紀がカバーしてくれる事になった。


真紀はおっとりした外見に似合わず、テキパキ効率良く仕事を進めていくため、元気一杯に駆け回る小坂雛と協力し合って見事にオーダーをこなしていった。



女神は不在でも、いわゆる『天使の加護』があるという訳だ。



 そう云えばエリカ達が加わった頃から、常連のお客様たちの間で次々とカップルが誕生している。



地元のタウン誌でも「恋人の見つかるお店」として記事になったみたいだし…



(女神フローリアのご利益ってやつか?)



そんな事を思いながら、俺はひたすら接客に追われていた。





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