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オバケ11

[331]  はこもの  2006-09-22投稿
僕は夢を見た。

いつもの居酒屋でオバケと一緒に飲んでる夢だ。

「半年前にあんたに声をかけられた」オバケの前には日本酒と焼き魚があった。「それから色々な事を話した。確かに楽になったさ。でもね、そのおかげで俺は空っぽになった。あんたが悪いんじゃない。うまく説明できないけど」

店の中を見回すと、そこには誰もいなかった。オヤジもいない。

「誰かが俺をオバケと呼んだ」彼は続けた。「いくら喧嘩が強くても、スタジオミュージシャンとして成功したとしても、俺はオバケだった。誰も本当の俺を見ようとしない。つまり、俺はそこにはいないんだ」

本当のオバケ?

「でもあんたは本当の俺を見てた。あんたにはわからんかもしれんが、俺にはわかる。だから俺は話した」

話し終わると、彼はどこかに消えた。去ったのではなく、文字通り、消えた。

おい、待ってくれ。

そう言いたかったが、声がでない。体も動かない。

「じゃあな」どこからともなくオバケの声が聞こえた。

大丈夫、みんな夢さ。誰かが言った。

もし夢だとしても、大丈夫じゃないんだ、と僕は思った。


「引き金は引かないよ」オバケが言った。

目が覚めた。

朝6時。

どこかから銃声が聞こえたような気がした。

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