結婚生活7
家に帰ると、俊樹は珍しく料理を作っていた。
「お帰り、陽子。お腹空いてるだろ?俺の特製カレー、食べるだろ?」
陽子は、何か食欲がわかなかったが、食べることにした。
しかし、食べなれてきた味には、特別な感動がなかった。
「美味しいよ。やっぱり、俊樹の作ったカレーは、ひと味違うね!」
心の中では、少し悪い気もしたが、それが、自分の為に働いている彼への、礼儀だと思った。
「明日の晩御飯、何がいい?俊樹の好きなのにするよ。」
「じゃあ、久しぶりに肉じゃがリクエストしようかな?時間掛かるやつ言ってごめんな。」
平凡だが、どこから見ても幸せな、夫婦の会話だ。
しかし、人間という存在は外から見た風景と、当人の心の中身が微妙にズレていることがある。
そう言えば、弘も肉じゃがが好物だった。弘に今、食べさせてあげられたなら、どんな風に反応してくれるのか?
そんなことが、浮かんでくる自分が、陽子は少し、恥ずかしくなった。
翌日の夕方から、陽子は、肉じゃが作りに取り掛かった。そして、なぜか他のおかずは、弘の好物ばかりを作ってしまっていた。
(これじゃあ、まるで、俊樹でなく弘を待っているみたいじゃない。変な私☆。)
1日だけでも、彼の妻として過ごせたら…。そんなバカな空想が浮かんだ。
しかし、当たり前に毎日帰ってくるのは、望んでいる弘ではなく、俊樹だ。
(私は、少しおかしくなってきたのではないか?俊樹のことを嫌いになった訳でもないのに…。)
そんなことを考えていると、玄関のチャイムが鳴り響いた。
「陽子、入れてくれないか?」
そこに立っていたのは、弘だった。
[続く]
「お帰り、陽子。お腹空いてるだろ?俺の特製カレー、食べるだろ?」
陽子は、何か食欲がわかなかったが、食べることにした。
しかし、食べなれてきた味には、特別な感動がなかった。
「美味しいよ。やっぱり、俊樹の作ったカレーは、ひと味違うね!」
心の中では、少し悪い気もしたが、それが、自分の為に働いている彼への、礼儀だと思った。
「明日の晩御飯、何がいい?俊樹の好きなのにするよ。」
「じゃあ、久しぶりに肉じゃがリクエストしようかな?時間掛かるやつ言ってごめんな。」
平凡だが、どこから見ても幸せな、夫婦の会話だ。
しかし、人間という存在は外から見た風景と、当人の心の中身が微妙にズレていることがある。
そう言えば、弘も肉じゃがが好物だった。弘に今、食べさせてあげられたなら、どんな風に反応してくれるのか?
そんなことが、浮かんでくる自分が、陽子は少し、恥ずかしくなった。
翌日の夕方から、陽子は、肉じゃが作りに取り掛かった。そして、なぜか他のおかずは、弘の好物ばかりを作ってしまっていた。
(これじゃあ、まるで、俊樹でなく弘を待っているみたいじゃない。変な私☆。)
1日だけでも、彼の妻として過ごせたら…。そんなバカな空想が浮かんだ。
しかし、当たり前に毎日帰ってくるのは、望んでいる弘ではなく、俊樹だ。
(私は、少しおかしくなってきたのではないか?俊樹のことを嫌いになった訳でもないのに…。)
そんなことを考えていると、玄関のチャイムが鳴り響いた。
「陽子、入れてくれないか?」
そこに立っていたのは、弘だった。
[続く]
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