遠吠えが呼ぶもの
毎夜の丑三つ時、私の意識を目覚ましのアラームの如く目覚めさせるのは、遠くからうっすらと聞こえる車や電車の音とは明らかに異質な犬の遠吠えだった。 それは私が起きていようが寝ていようが関係なく、強制的に私の意識を自分に向けさせようとしているかの如く寂寥と飢餓を滲ませたような獣の声だった。
だから私は毎夜の午前二時にベッドから起き上がり、月明かりが差し込む部屋の窓をじっと見つめる。
すると例の声は、段々とかすかなものとなって、やがて夜気に紛れてどこかに行ってしまう。
果たしてこれは何なのだろう。
夜毎に決まって作動する犬の遠吠え。私が外を見やれば止む嘆願。
ただの犬の遠吠えにしては人間的な感情が感じられるのだが、しかし、この声は正しく犬のもの、もっと言えば畜生のもので間違いはなかった。
人間性と獣性が遠吠えという形で表されているという矛盾。
そうと感じてしまう直感とひたすらに否定を並べ立てる理性という総体、そして矛盾。
答えの無いものをこそ、合意を求めたがる矛盾。
それら矛盾のコンフリクトが一枚の帳を隔てた向こうで行われている。
そんな考えに私は囚われ続けている。
だから私は毎夜の午前二時にベッドから起き上がり、月明かりが差し込む部屋の窓をじっと見つめる。
すると例の声は、段々とかすかなものとなって、やがて夜気に紛れてどこかに行ってしまう。
果たしてこれは何なのだろう。
夜毎に決まって作動する犬の遠吠え。私が外を見やれば止む嘆願。
ただの犬の遠吠えにしては人間的な感情が感じられるのだが、しかし、この声は正しく犬のもの、もっと言えば畜生のもので間違いはなかった。
人間性と獣性が遠吠えという形で表されているという矛盾。
そうと感じてしまう直感とひたすらに否定を並べ立てる理性という総体、そして矛盾。
答えの無いものをこそ、合意を求めたがる矛盾。
それら矛盾のコンフリクトが一枚の帳を隔てた向こうで行われている。
そんな考えに私は囚われ続けている。
感想
感想はありません。