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世界の午後

[961] グルルル 2015-01-14投稿
徹底的に無機な残骸と、荒野に次ぐ荒野。
七色を内包してなお交じりあわず、冠された暗雲の天蓋。
その最中で拠り所なく徘徊するだけの寂謬の風。
さざ波だつ海の中にはなにものの影も生じない。
それは、人間たちが生み出した文明と呼ばれたものの結果だった。
かつて星の支配者と自称した生き物が欲望のままに突き進んだ繁栄の道の、その終着点。
かつて支配者の同胞たちが延々と夢想を紡いできた地獄の光景。

彼ら人類は繁栄の後、穏やかに死滅していった。

かつて彼らがディストピアと呼んだあらゆる抑制と禁欲の檻の中に自ら望んで入り、果てたのだ。
自分達のアイデンティティ一つである創造性、進化を止めてまで、生存に努めた挙げ句の末期だった。

彼らの行いの是非、正誤の判断はもう誰も下しようがない。
いや、評価すらきっと意味の無いものになる。
だって全てはやり直されるから。
傲慢な人間たちがどのような傷跡を地球に、宇宙に、世界に深く突き立てようとしても大したことではない。
世界は何事もなかったかのように繰り返すだけ。
運命的感動的なストーリーもなく、カタルシスもない、退屈で平凡な日常を。

まるで、人間みたいに。

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