逃亡記3
ゲルダは松明の火を落として、廟の中に押し入った。
目が慣れると、左右の壁に一つずつロウソクが掛けられているのが分かった。
彼は腰の袋から火打ち石を取り出してカチカチと合わせ、ロウソクに灯をともした。
ぼう、と空間がオレンジ色の炎によって染め上げられる。
廟の奥に一体の童子像が鎮座していた。
何かが気にかかり、ゲルダは近づいてその像を詳しくみた。
幼い童子像の顔が、苦悶とも喜悦ともつかぬ表情に歪んでいる。
その胸には、ひとつの青い宝石が飾られていた。ゲルダは手で強引にその宝石を童子像から奪い取り、背中の袋に放り込んだ。
満足した彼の顔に、笑みが、自然とのぼってくる。
ふと、童子の顔を見やると、今度は童子の表情が憎しみや怒りを顕しているように見え、思わず首をすくめるゲルダ。
気のせいさと心の内で呟いて、廟の壁にもたれて膝を抱いて座り、目を瞑ると、
やがて深い眠りが彼を包み始めた。
目が慣れると、左右の壁に一つずつロウソクが掛けられているのが分かった。
彼は腰の袋から火打ち石を取り出してカチカチと合わせ、ロウソクに灯をともした。
ぼう、と空間がオレンジ色の炎によって染め上げられる。
廟の奥に一体の童子像が鎮座していた。
何かが気にかかり、ゲルダは近づいてその像を詳しくみた。
幼い童子像の顔が、苦悶とも喜悦ともつかぬ表情に歪んでいる。
その胸には、ひとつの青い宝石が飾られていた。ゲルダは手で強引にその宝石を童子像から奪い取り、背中の袋に放り込んだ。
満足した彼の顔に、笑みが、自然とのぼってくる。
ふと、童子の顔を見やると、今度は童子の表情が憎しみや怒りを顕しているように見え、思わず首をすくめるゲルダ。
気のせいさと心の内で呟いて、廟の壁にもたれて膝を抱いて座り、目を瞑ると、
やがて深い眠りが彼を包み始めた。
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