携帯小説!(PC版)

逃亡記13

[683] どろぼう猫 2015-07-11投稿
ゲルダはとっさに嘘をついた。

「森の中でこれを拾った。ちいさな泉の底できらきら光っていたんだ」

「ほうほう。お前さん、それは拾い物じゃった。もう一度、見せてくれんかの?」

老人がそう言って手を差し出すので、ゲルダはその手に女からもらった銀貨を一枚載せた。

「それはあんたにあげる。約束だからな」

ゲルダがそう言うと、老人は喜色満面で受け取った。

主婦が料理を運んできた。香草とスパイスと焼けた鶏肉の匂いが立ち込めた。ゲルダは再び空腹を強く意識した。

主婦は満足げにその様子を眺め、「さあ、たんと召し上がれ。きちんと食べないと力が出ませんよ」と言った。

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