セピア色(カラー)9
・11月も終わり、十二月にもなると一段と気温も下がり北風も余計強くなって本格的な冬が到来した。夜の街並みはクリスマスのせいもあってイルミネーションのネオンが華やかに輝き、またお店などでもツリーやその他の飾りが目立ち、店頭販売においてはサンタの格好をした店員の姿もちらほら見かけるようになって街全体がクリスマス一色といった感じの雰囲気に包まれていた。
・恋人とクリスマスを迎えるのは二年ぶりだった。この日ばかりは有休を使用する事を上司に申しでて承諾を得ていた。そして、プレゼントには初めてのデートの時に舞が物欲しそうに見てたバックを買い、雑誌で見つけたレストランを予約していた。外出してイヴを過ごす事に二人とも賛成だったからだ。
・クリスマス・イヴ前日、トイレで畑中さんと顔を合わした。
「よう、明日はイヴだな」
「はい」
「ちゃんとプレゼント買って予定立ててんの?」
「ええ、もうばっちりです。プレゼントも買って店も予約してるんです」
「やるじゃん。で、プレゼントは何を買ったんだ」
「……バックです。これ絶対秘密ですよ」
僕は口許に指を当て“シー”のポーズをとった。
「分かってるよ。言わない」僕ばかり質問に答えていたので相手に失礼かなと考え、僕からも質問をした。
「畑中さんはどうするんですか、クリスマス」
「あるホテルでイベントがあってね。出会い求めてのイベント参加なんだ」
「ホテルのイベントっていったらけっこう高そうですね」
「俺の理想も高いせいだろうな。いい相手が見つかればいいけど」
「大丈夫ですよ、きっと見つかりますよ」
「ありがとう、君も頑張って!」
そう言って畑中さんは立ち去った。
・次の日、僕はスーツを着用して待ち合わせ場所に出向いた。舞からは何をプレゼントされるだろうなんて事を期待しながら一緒にイヴを迎えれる事が嬉しくて胸を踊らせていた。
・レストランではパン、スープと始まりフレンチのフルコースを味わった。特にメインの“イベリコ豚のロティ 季節野菜のグリル添え”はまろやかで十分な美味しさだった。最後に出てきたデザートのデザインがありにも可愛らしくてそのせいで舞はデザートをなかなか口にしなかった。
・食事を終えてからプレゼントのバッグを渡した。舞は落ち着いた微笑みをこぼしながら“ありがとう”と言って喜んだ。舞からはジッポーライターと手作りお菓子、それから手紙をもらった。
・レストランを出た後、イルミネーションをパックに道行く人に頼んで写真をとってもらった。それから僕達はバーに入った。ここも雑誌で見つけて予約をしていた。バーではクリスマス・カップルサービスとして特性のカクテルが出された。そのオリジナルカクテルを飲んだ後、酒に酔った勢いから格好をつけて“チンザノのハーフ&ハーフを僕はオーダーした。雑誌で見て知ったのだが、このカクテルはベルモットというチンザノ酒のドライとロッソを半々にブレンドしたもので比較的アルコール度も少ない事からお酒がそれ程強くない僕にも適しており、グラスを手にして一口飲むと口の中にオレンジ風味の甘さと若干の苦味が広まった。オリジナルカクテルを飲み終えた舞にも“これ少し苦いけど甘くて飲みやすいよ”と言ってすすめると舞も軽く頷いて“チンザノのハーフ&ハーフ”をオーダーした。出されたカクテルを飲んで“美味しい”と微笑み三十分もしないうちに舞の瞳は虚ろになっていた。
「酔ってるでしょ?」
そう僕が問うと
「ちょっと酔っちゃった」
「ちょっとだけじゃなく大分酔ってるように見えるけどな」
「ばれた」
「明らかに分かるよ」
舞が静かに笑う。
「出ようか」
バーを出て少し酔いざましに歩いた。
「付き合いだしてから三ヶ月が過ぎたんだね」
「そうだね」
「なんか不思議。貴士君の事、前から知ってた感じがする」
「大分、酔ってるね」
「じゃなくて……。インスピレーションかな!?なんかこの人、昔から知ってるぞって感じがしたんだよね」
「ふぅん。俺は舞の第一印象は前にも言ったけどかわいらしい娘だなってイメージ」
「照れるなぁ」
「でも、最初会った時、畑中さんとばかりしゃべってたから興味ないのかなぁって思ったりしてた」
「あれは初対面だったし緊張してたから。こう見えて人見知りする方なの」
「人見知りするタイプには全然見えないけどな」
僕がそう言うと舞が僕の腕を叩いてきた。
「ウソ、ウソ。冗談だって。そろそろタクシー拾うよ」
それからタクシーを拾って、
「“クレッセントホテルまで」
そう告げた後、タクシーはホテルを目指して走りだした。
・恋人とクリスマスを迎えるのは二年ぶりだった。この日ばかりは有休を使用する事を上司に申しでて承諾を得ていた。そして、プレゼントには初めてのデートの時に舞が物欲しそうに見てたバックを買い、雑誌で見つけたレストランを予約していた。外出してイヴを過ごす事に二人とも賛成だったからだ。
・クリスマス・イヴ前日、トイレで畑中さんと顔を合わした。
「よう、明日はイヴだな」
「はい」
「ちゃんとプレゼント買って予定立ててんの?」
「ええ、もうばっちりです。プレゼントも買って店も予約してるんです」
「やるじゃん。で、プレゼントは何を買ったんだ」
「……バックです。これ絶対秘密ですよ」
僕は口許に指を当て“シー”のポーズをとった。
「分かってるよ。言わない」僕ばかり質問に答えていたので相手に失礼かなと考え、僕からも質問をした。
「畑中さんはどうするんですか、クリスマス」
「あるホテルでイベントがあってね。出会い求めてのイベント参加なんだ」
「ホテルのイベントっていったらけっこう高そうですね」
「俺の理想も高いせいだろうな。いい相手が見つかればいいけど」
「大丈夫ですよ、きっと見つかりますよ」
「ありがとう、君も頑張って!」
そう言って畑中さんは立ち去った。
・次の日、僕はスーツを着用して待ち合わせ場所に出向いた。舞からは何をプレゼントされるだろうなんて事を期待しながら一緒にイヴを迎えれる事が嬉しくて胸を踊らせていた。
・レストランではパン、スープと始まりフレンチのフルコースを味わった。特にメインの“イベリコ豚のロティ 季節野菜のグリル添え”はまろやかで十分な美味しさだった。最後に出てきたデザートのデザインがありにも可愛らしくてそのせいで舞はデザートをなかなか口にしなかった。
・食事を終えてからプレゼントのバッグを渡した。舞は落ち着いた微笑みをこぼしながら“ありがとう”と言って喜んだ。舞からはジッポーライターと手作りお菓子、それから手紙をもらった。
・レストランを出た後、イルミネーションをパックに道行く人に頼んで写真をとってもらった。それから僕達はバーに入った。ここも雑誌で見つけて予約をしていた。バーではクリスマス・カップルサービスとして特性のカクテルが出された。そのオリジナルカクテルを飲んだ後、酒に酔った勢いから格好をつけて“チンザノのハーフ&ハーフを僕はオーダーした。雑誌で見て知ったのだが、このカクテルはベルモットというチンザノ酒のドライとロッソを半々にブレンドしたもので比較的アルコール度も少ない事からお酒がそれ程強くない僕にも適しており、グラスを手にして一口飲むと口の中にオレンジ風味の甘さと若干の苦味が広まった。オリジナルカクテルを飲み終えた舞にも“これ少し苦いけど甘くて飲みやすいよ”と言ってすすめると舞も軽く頷いて“チンザノのハーフ&ハーフ”をオーダーした。出されたカクテルを飲んで“美味しい”と微笑み三十分もしないうちに舞の瞳は虚ろになっていた。
「酔ってるでしょ?」
そう僕が問うと
「ちょっと酔っちゃった」
「ちょっとだけじゃなく大分酔ってるように見えるけどな」
「ばれた」
「明らかに分かるよ」
舞が静かに笑う。
「出ようか」
バーを出て少し酔いざましに歩いた。
「付き合いだしてから三ヶ月が過ぎたんだね」
「そうだね」
「なんか不思議。貴士君の事、前から知ってた感じがする」
「大分、酔ってるね」
「じゃなくて……。インスピレーションかな!?なんかこの人、昔から知ってるぞって感じがしたんだよね」
「ふぅん。俺は舞の第一印象は前にも言ったけどかわいらしい娘だなってイメージ」
「照れるなぁ」
「でも、最初会った時、畑中さんとばかりしゃべってたから興味ないのかなぁって思ったりしてた」
「あれは初対面だったし緊張してたから。こう見えて人見知りする方なの」
「人見知りするタイプには全然見えないけどな」
僕がそう言うと舞が僕の腕を叩いてきた。
「ウソ、ウソ。冗談だって。そろそろタクシー拾うよ」
それからタクシーを拾って、
「“クレッセントホテルまで」
そう告げた後、タクシーはホテルを目指して走りだした。
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