〜Stliker〜 哀編 (167)
航空戦艦要塞『扶桑』に侵入した龍雅は、内部の変わり果てた惨状に驚愕を覚えつつ艦内中枢部へ進んでいた。艦内は床から天井に至るまで所狭しと蔦や樹木に覆われ、その隙間にはかつては何らかの生物であった肉塊が腐乱していたのである。道なき道を進むその過程で侵入者にはある一つの疑問が生じていた。
「このような状態でなぜ飛べる?」
半歩ずつ足元を噛み締めながら進んでいると突然、右足が床を踏み抜くような感覚を覚えた。その直後、龍雅の足元は動揺し始め、踏み抜いた感覚のあった右足は瞬時にどこかから伸びてきたあろう蔦に絡まれてしまった。
「まずい!抜けないぞ!」
急いで右大腿のホルスターからコンバットナイフを取り出し蔦の切除を試みるがその瞬間に他所から現れた蔦が龍雅の首元に防護服の上から絡み付き、締め上げにかかってきた。
「ぐ・・・息・・ぐぁ・・・」
強烈な締め上げにナイフを持っていた右手の握力は失い、龍雅の意識が薄れかけていた。しかし、艦内に激しい振動が走り、通路は天井から崩壊し始めたのだ。
龍雅は一瞬だけ蔦が緩んだ瞬間を見逃さず首周りの蔦を除去すると右足の蔦を切除して待避した。
なお、蔦が上下左右から龍雅を追撃してくるが辛うじて回避ができた。
一旦後方へ待避すると追撃は収まった。
「どうやらこの先に大事なものがあるみたいだな」
龍雅は待避した場所から先ほど蔦に絡まれた地点を観察してみることにした。よくみるとその先から植物で覆われている床が分厚くなっており、所々で凹凸を形成している。龍雅はこれがトラップの引き金になっていると予想し、手元にあった瓦礫の一部をその凹凸のところに投げ込んだ。すると瓦礫に蔦が絡みつき、やがて瓦礫は砕け散った。
龍雅は再度その凹凸地帯に侵入するために装備を確認した時、先ほど使用したコンバットナイフが激しく腐食していることに気がついた。また、携帯しているアサルトライフル、ハンドガンも一部が腐食している。もちろん、侵入前に腐食は一切なかった。
「これは・・・もしかしたら艦内に立ち込めているガスの成分か?」
龍雅に残された判断の猶予はもはや無かった。また、その他の侵入経路は先ほどの崩壊で検索困難と判断した。
結果、龍雅は早足で先ほどの場所より更に侵入を開始した。この先には扶桑の中央動力施設がある。
龍雅の予想通り凹凸を避けることによってトラップの発動はなかった。
中央部へ近づくにつれて明かりはなくなり、ウェポンライトの灯りを便りに進むことになった。やがて、ある大きな一枚扉の前で立ち止まった。
「ここが恐らく、今回の目的地であろう・・・だが・・・」
扉は腐食が激しく軽く触れたのみで倒壊しそうな佇まいである。腐食によって空いた隙間から激しい蒸気とガス、腐敗臭が溢れて来ているのが目視でも確認できた。
そして龍雅は扉から伝わるものの中に"狂気"すら感じていた。
「このような状態でなぜ飛べる?」
半歩ずつ足元を噛み締めながら進んでいると突然、右足が床を踏み抜くような感覚を覚えた。その直後、龍雅の足元は動揺し始め、踏み抜いた感覚のあった右足は瞬時にどこかから伸びてきたあろう蔦に絡まれてしまった。
「まずい!抜けないぞ!」
急いで右大腿のホルスターからコンバットナイフを取り出し蔦の切除を試みるがその瞬間に他所から現れた蔦が龍雅の首元に防護服の上から絡み付き、締め上げにかかってきた。
「ぐ・・・息・・ぐぁ・・・」
強烈な締め上げにナイフを持っていた右手の握力は失い、龍雅の意識が薄れかけていた。しかし、艦内に激しい振動が走り、通路は天井から崩壊し始めたのだ。
龍雅は一瞬だけ蔦が緩んだ瞬間を見逃さず首周りの蔦を除去すると右足の蔦を切除して待避した。
なお、蔦が上下左右から龍雅を追撃してくるが辛うじて回避ができた。
一旦後方へ待避すると追撃は収まった。
「どうやらこの先に大事なものがあるみたいだな」
龍雅は待避した場所から先ほど蔦に絡まれた地点を観察してみることにした。よくみるとその先から植物で覆われている床が分厚くなっており、所々で凹凸を形成している。龍雅はこれがトラップの引き金になっていると予想し、手元にあった瓦礫の一部をその凹凸のところに投げ込んだ。すると瓦礫に蔦が絡みつき、やがて瓦礫は砕け散った。
龍雅は再度その凹凸地帯に侵入するために装備を確認した時、先ほど使用したコンバットナイフが激しく腐食していることに気がついた。また、携帯しているアサルトライフル、ハンドガンも一部が腐食している。もちろん、侵入前に腐食は一切なかった。
「これは・・・もしかしたら艦内に立ち込めているガスの成分か?」
龍雅に残された判断の猶予はもはや無かった。また、その他の侵入経路は先ほどの崩壊で検索困難と判断した。
結果、龍雅は早足で先ほどの場所より更に侵入を開始した。この先には扶桑の中央動力施設がある。
龍雅の予想通り凹凸を避けることによってトラップの発動はなかった。
中央部へ近づくにつれて明かりはなくなり、ウェポンライトの灯りを便りに進むことになった。やがて、ある大きな一枚扉の前で立ち止まった。
「ここが恐らく、今回の目的地であろう・・・だが・・・」
扉は腐食が激しく軽く触れたのみで倒壊しそうな佇まいである。腐食によって空いた隙間から激しい蒸気とガス、腐敗臭が溢れて来ているのが目視でも確認できた。
そして龍雅は扉から伝わるものの中に"狂気"すら感じていた。
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