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山奥に鎮座せり

[118] 焼き魚 2022-03-21投稿
4月中旬。

奈良県吉野町ではいわゆる千本桜が満開を迎える。

この一帯で自生しているヤマザクラは日本固有種である。長身の樹木に成長し高い位置の枝葉に花を付けるのが特徴である。

毎年この時期には多くの見物客が訪れ、地域の観光業は最盛期を迎える。

この吉野山一体に自生しているヤマザクラ群は区域によって呼称がある。

麓地域に咲く下千本、中腹に咲く中千本、山頂付近で咲き乱れる上千本。

吉野山でこの時期に開花する桜群はまさに圧巻荘厳の様相を呈しており、かつての為政者達は『一目千本』と呼称し持て囃し、挙って花見を楽しんでいた。

しかし、上千本の更に上、そこには知る人ぞ知るヤマザクラの群生地がある。

吉野山の奥に位置する金峯神社から急勾配のある山道を登り下りすると突然、樹木が切り開かれた場所に出る。ここに至るまでに特別な脚力は必要ないが体力の消耗は念頭に置いておくべきである。

『奥千本』と呼ばれるこの地域は背丈が高いヤマザクラをより近い位置で見下ろすことができる場所である。一ヶ所に密集して自生しているため、対に聳えている崖上から見ると同地域に生える松の木とも重なり、独特な外観を織り成す。

ヤマザクラの根元には、かつてこの地で修行を重ねたであろう高僧の像が鎮座しているがこの高僧の修行を妨げるような雑音は何もない。

あるのはただ木の揺らめく音と熊蜂の羽音のみである。

時は流れることを放棄したかの如く、そこにはただ静寂が流れている。

高僧はこれからも変わりなく鎮座し、この地を見守り続けていくであろう。




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