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天使のすむ湖61

[284]  雪美  2006-09-24投稿
その二度目の告知から二日が過ぎ、心配で俺は香里の病室に泊り込みで付き添っていた。
そんな夜更けに俺が目が覚めると、トイレに行ったはずの香里がなかなか戻らない、気になって探しに行くと、トイレには人気はなく、近くの休憩所などにもいない。あせって探し始めて、もしかしたらと、屋上に上がると、フェンスのそばのイスに腰掛けて、夜景を見下ろしていた。
「よかったここにいたんだ。」
俺はほっと肩をなでおろし、香里の横に腰掛けた。
「ごめんね、いつも一樹には負担ばかりかけて、本当なら桜井君や岬ちゃんと受験勉強したり、遊んだりする時期なのにね・・・」
「いいんだよ、香里がいてくれたから、桜井とトップ争いが出来るようになったんだ、それに負担なんかじゃないよ、俺がそばにいたいからいるんだから、岬が変わろうかと言ってくれたけど、会えなくなりそうでそばにいたんだ。」
夜景は眼下に広がり、ゆらゆらと揺らめいて見えた。香里は切なそうで、俺は持ってきた上着を香里にかけた。
「夜景は綺麗だけど、この光の向こうには人が生活しているのよね。」
香里はそう言った。
「そうだね、人がいるからある光だね。」俺も同意した。
「私、帰りたいな、あの湖に、都会はなんだか騒がしくて苦手なのよね。」
確かに都会は何かと騒がしく落ち着かない、
「帰れるように先生に話してみようよ、俺もいるから。」
香里は小さくうなづき、夏の静かな風が心地よく、二人を包んだ。
治療法が無いなら、どこにいても同じだ、医療設備は無いけど慣れた場所で過ごしたいのは当たり前だろうと思った。

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