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バスターズ!・第63話 「ファースト・ミッション?」

[401]  博上 文  2005-12-20投稿
彩握高校:一階・廊下
時:20止分。
(時が停止した中での20分後)


ただ、前を見る。
涙の止まらない目で。
前には、何もない。
マウスの死体はあのあと、ジェル状に姿を変え、蒸気になり、消えていった。
返り血を浴びた体も、今ではウルフの焦げ茶色に戻っていた。

ついさっきの事なのに、まるで数年前のように感じる。
龍一は何もない廊下で、壁に寄り掛かりながら座り、ただただ、前を見ていた。何も‥‥ない。
そう、何も‥‥‥

「‥‥‥‥‥‥‥‥」

(‥‥‥俺は‥‥仇を‥‥取った‥‥‥はずだ‥‥‥なのに‥‥なんで‥‥こんなに‥むなしいんだ‥?)

自分で自分を問い詰める。何が原因なのか、何がダメだったのか。
頭の隅から隅まで思考をめぐらす。
しかし、解らない。
何度考えても、答えは出ない。

そして、龍一は一つの『真実』に、辿り着いた。
その瞬間、頬を伝う涙は勢いを増した。

【ツー‥‥】

(‥‥解った‥‥)

【ピチョッ‥‥ピチョッ‥‥】

(‥‥‥解っちまった‥‥)

【ピチャッ‥‥ピチャッ‥‥】


(俺が望んでたのは‥‥『仇』なんかじゃない‥‥‥本当に望んでたのは‥‥)

【ぼろ‥ぼろ‥ぼろ‥】


「アキラ‥‥『アキラが帰ってくること』だったんだ‥‥‥!!」

【ピチャン!‥‥ピチャン!‥‥】


悲しみの粒は、留まることを知らなかった。

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