宇宙戦隊・15
日浦久幸はついに覚悟を決めた。
日浦が人知れずこの富士の樹海へと入り込んだのはちょうど昨日の夕方。12時間以上同じ場所に座り続けてるのはまだ生への執着があるせいなのだろうか。
日浦は今年で34歳のカメラマンだ。先月、売れっ子アイドル歌手と愛妻家で有名なベテラン俳優の不倫現場を撮影して、それが雑誌やワイドショーなどでも大きく取り上げられた。
編集長にも褒められ、いい気になっていた日浦。そんな彼を襲ったのはアイドル歌手の自殺とファンからの非難だった。
毎日鳴り響く苦情の電話。嫌がらせの手紙。手の平を返したような世間からの冷たい評価。日浦はそれらに耐えられる程、強い男ではなかった。
特に何も考えぬまま、日浦は愛用のカメラと財布、携帯、ペンと紙、そしてパン一つを持ってこの富士の樹海へと入り込んだのだった。
紙には一言、“俺は真実を撮っただけだ”と記し、ベルトを木にかけて輪を作る。足下には、別の自殺者が使用したと思われるビールのケース。
日浦は大きく息を吸って、ケースに乗った。
「……ん?」
辺りが、一瞬眩しく光ったと思うと、直後に、枝の折れる音とプロペラの回るような音。
「…何だ?」
日浦は音のする方へと行ってみた。そこで日浦は驚くべき物を発見した。
それは球形の…そう、まさに“宇宙船”と呼ぶのにふさわしいような物体。直径は3メール近くありそうだ。辺りにあった木が少し焦げている。
「これは……何だ!?」
日浦は思わずカメラを取り出し、撮影しようと構えた。
「敵か」
「わぁっ!!」
突如、中から声がした。若そうな男の声だ。
「妙な物体を我々に向けているな」
「え…あ、すいませ…」
「攻撃の意志があるものと見なす」
「え?」
状況がうまく掴めぬまま呆然としてると、球形宇宙船の上部が開き、大砲が出てきた。
「あの……」
「発射準備」
「え…っっ」
聞こえてきたのは、カウントする電子音。
「ま…待ってくれ……い………嫌だぁ!!死にたくなぁぁぁい!!!!」
日浦が人知れずこの富士の樹海へと入り込んだのはちょうど昨日の夕方。12時間以上同じ場所に座り続けてるのはまだ生への執着があるせいなのだろうか。
日浦は今年で34歳のカメラマンだ。先月、売れっ子アイドル歌手と愛妻家で有名なベテラン俳優の不倫現場を撮影して、それが雑誌やワイドショーなどでも大きく取り上げられた。
編集長にも褒められ、いい気になっていた日浦。そんな彼を襲ったのはアイドル歌手の自殺とファンからの非難だった。
毎日鳴り響く苦情の電話。嫌がらせの手紙。手の平を返したような世間からの冷たい評価。日浦はそれらに耐えられる程、強い男ではなかった。
特に何も考えぬまま、日浦は愛用のカメラと財布、携帯、ペンと紙、そしてパン一つを持ってこの富士の樹海へと入り込んだのだった。
紙には一言、“俺は真実を撮っただけだ”と記し、ベルトを木にかけて輪を作る。足下には、別の自殺者が使用したと思われるビールのケース。
日浦は大きく息を吸って、ケースに乗った。
「……ん?」
辺りが、一瞬眩しく光ったと思うと、直後に、枝の折れる音とプロペラの回るような音。
「…何だ?」
日浦は音のする方へと行ってみた。そこで日浦は驚くべき物を発見した。
それは球形の…そう、まさに“宇宙船”と呼ぶのにふさわしいような物体。直径は3メール近くありそうだ。辺りにあった木が少し焦げている。
「これは……何だ!?」
日浦は思わずカメラを取り出し、撮影しようと構えた。
「敵か」
「わぁっ!!」
突如、中から声がした。若そうな男の声だ。
「妙な物体を我々に向けているな」
「え…あ、すいませ…」
「攻撃の意志があるものと見なす」
「え?」
状況がうまく掴めぬまま呆然としてると、球形宇宙船の上部が開き、大砲が出てきた。
「あの……」
「発射準備」
「え…っっ」
聞こえてきたのは、カウントする電子音。
「ま…待ってくれ……い………嫌だぁ!!死にたくなぁぁぁい!!!!」
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