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約束?

[353]  かおたか  2006-09-30投稿
医師>膵臓ガンの早期発見は本当に稀なんです。殆んどの患者さんがアナタのように自覚症状が出始めてから病院にいらっしゃる

狼狽する太一

医師は淡々と喋りだす

医師>治療の話をする前に、先ずこの病気について説明をします。膵臓ガンは発生部位により病状が異なります。膵頭部ガンは食欲不振、体重減少に始まり上腹部痛、背部痛が起こり胆汁の通過障害による閉塞性黄色疸がみられます。次に膵尾部ガンや膵体部ガンは、黄疸が現れることはなく特徴的症状もないことから発見が遅れるケースが多く見受けられ……

医師の説明は太一の耳には届かない

太一>どれくらいなんですか(ボソボソ)

医師>はい?

太一>あとどれくらい生きられるんですか、オレ?

医師>……

太一>先生!!

医師>今の進行状況から考えると、半年…いや三ヶ月とみた方がいいでしょう

太一>三ヶ月…

医師>入院の手続きはとっておきました……

ベンチに座って泣き崩れている太一

由紀が公園の前を通る。手には買い物袋を提げている。太一がベンチに座っている。声をかけようとする

由紀>た…

しかしいつもと様子が違う。彼女はゆっくりと太一に近づく
初めて見る太一の泣を見て由紀は驚く。思わず買い物袋を落としてしまう

その音に気づき太一は振り向く。由紀と分かり、急いで涙を拭い、いつものヒマワリのような笑顔で
太一>なんだぁ!いるなら声掛けてくれよ!もぅ!

由紀>何かあったの?

太一>ん?ぁあ、目にゴミが入っちゃってさ…

ゴミを取る仕草をする

それ以上何も聞けない由紀

由紀>そうなんだ…

買い物袋を拾う太一。袋の中から見える大量の餃子が気になる

太一>おいおいおい!この餃子の数は何なんだぁ?

由紀>え…あ、駅前のスーパーでね、5袋1セットで420円で売ってたから思わず買っちゃった!ティヒ♪

太一>ティヒ♪じゃないよ全く!買いすぎだ!

コツンと軽く頭を叩く

由紀>いった〜い↓↑良いじゃない。あたし食べるんだから〜

いつもの太一だと思い先程の件はあまり気にしないことに

太一>じゃあ行くか

由紀>うん!

しばらく歩くと分岐点が

太一>なあ…明日デートしようか

由紀>いいけど?どうしたの急に?

【約束?に続く】

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