幸運の女神-第二部 16
品川恵利花の通っている音大の学園祭も、盛況のうちに幕を閉じた。
もう、先に片付けを済ませた連中から順次帰宅を始めている所だ。
俺、倉沢諒司もエリカを送るつもりでいたのだが…
「あのさ、キミ芸能界に興味ない?」
「恵利花さん、モデルやってみたいと思いません?」
「あーっ!恵利花ちゃんこっちに目線くれる?」
「えーっと、…スリーサイズとか教えてくんない? 来月号の締切がさぁ」
「あの〜、…あたし、もう帰りたいんですけどぉ…」
「じゃ、最後にひとつだけ…、ちょっと、週刊サタデーさん、押さないでよ!」
「ピー・ボーイさん、抜け駆けは無しッス」
「あ、リョージぃ〜!ちょっと、笑ってないで助けてよぉ〜」
ステージ上では度胸満点のエリカも、取材記者やらスカウト達にいきなり囲まれては処置無しといった様子だ。
皮肉な事に、自分の彼女がマスコミにとっ捕まる経験を豊富に持つ俺は、むぞうさに取材陣をかき分けていた。
「あ、どもどもーっ。
この子貰っていきますね」
「な、…リョージ何?」
「逃げるぞ!」
キョトンとしていたエリカを腕に抱き上げた俺は、体のデカさにモノを云わせ、唖然としていた連中を弾き飛ばしながら人垣を一気に駆け抜けていった。
『高校時代、ラグビーやってて良かった』と思うのはこんな時位か?…
「お前、ちょっと軽過ぎだぞ?何キロなんだよ」
「リョージがデカ過ぎなんよ。
それにさぁ、レディに体重尋ねるなんて銃殺モノだよ?」
他愛もない会話を交しながら前もロクに見ないで歩いていると、正面から突然声が掛かった。
「やぁ、倉沢諒司君と品川恵利花さんだったね?
私はこういう者だが。
しかし、…君達本当に仲がいいんだなぁ」
「え?…お、おい、エリカ」
「むふっ♪」
慌てて彼女を地面に降ろした俺は、声の主が差し出す名刺を受け取った。
【ケイ&ケイプロデュース代表取締役・霧島敬二郎】
どこかで聞いた名前が目に飛び込んでくる。
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