兵(つわもの)?
朝の日差しが瞼越しに瞳を刺す。深い眠りの底から引き上げられる意識。何度も経験してきた覚醒の感覚。
「ん…」
いつもと変わらぬ気怠い目覚めに何の疑問も持たずに宗兵衛は目を開ける。しかし、目に飛び込んできたのは見覚えの無い天井。
「…!」
驚きのあまり急に起こした体が、痛みと軋みを訴える。―生きているのか…
痛みと共に最期を思い出す。負け戦、自ら望んだ死。
「……!」
沈みかけた気分を振り払うように頭を振った。
―どれだけの時間寝ていたのだろうか。いや、それよりも此所はどこだ?
「……………」
石造りの壁に妙に弾力のある寝床、一応部屋だという事は理解出来たが、それ以外は皆目検討もつかない。
そっと高い位置にある寝床から降りてみると、石の床が足の裏をひんやりと刺激した。その感触で思わず足下を見た宗兵衛はある事に気付く。
「ぬお!!」
思わずマヌケな声を上げてしまった。服が無い。鎧どころか何も着ていないのだ。
眠っていたのだから鎧を着けていないのは当然としても、何故裸なのかは理解出来ない。とりあえず、寝床にあった布を腰に巻いておく。
―出口は…
辺りを見回すが襖らしき物は無く、光が差し込む穴も格子がはまっていて出られそうにない。
「………」
あと考えられる可能性としては石の壁に嵌め込まれた木の板だが、どう見ても襖ではない。横にずらそうと試してみるが微動だにせず、まさかと思いつつ押してみても同じ結果。
「………」
内心焦り始めていた。もし、この部屋に出口がない場合の自分に待つ結末が容易に想像出来たからだ。
―もしや…引くのでは…
仏にも縋る思いで板に付いた金属製の出っ張りを掴んで引くと、呆気なく板は動いた。「…面妖な…」
引いて開ける襖など聞いた事もない。呆れながら一気に板を引いた。ところがその先に道は無く、代わりに銀色の甲冑を身に纏った金髪の男が立っていた。
「ん…」
いつもと変わらぬ気怠い目覚めに何の疑問も持たずに宗兵衛は目を開ける。しかし、目に飛び込んできたのは見覚えの無い天井。
「…!」
驚きのあまり急に起こした体が、痛みと軋みを訴える。―生きているのか…
痛みと共に最期を思い出す。負け戦、自ら望んだ死。
「……!」
沈みかけた気分を振り払うように頭を振った。
―どれだけの時間寝ていたのだろうか。いや、それよりも此所はどこだ?
「……………」
石造りの壁に妙に弾力のある寝床、一応部屋だという事は理解出来たが、それ以外は皆目検討もつかない。
そっと高い位置にある寝床から降りてみると、石の床が足の裏をひんやりと刺激した。その感触で思わず足下を見た宗兵衛はある事に気付く。
「ぬお!!」
思わずマヌケな声を上げてしまった。服が無い。鎧どころか何も着ていないのだ。
眠っていたのだから鎧を着けていないのは当然としても、何故裸なのかは理解出来ない。とりあえず、寝床にあった布を腰に巻いておく。
―出口は…
辺りを見回すが襖らしき物は無く、光が差し込む穴も格子がはまっていて出られそうにない。
「………」
あと考えられる可能性としては石の壁に嵌め込まれた木の板だが、どう見ても襖ではない。横にずらそうと試してみるが微動だにせず、まさかと思いつつ押してみても同じ結果。
「………」
内心焦り始めていた。もし、この部屋に出口がない場合の自分に待つ結末が容易に想像出来たからだ。
―もしや…引くのでは…
仏にも縋る思いで板に付いた金属製の出っ張りを掴んで引くと、呆気なく板は動いた。「…面妖な…」
引いて開ける襖など聞いた事もない。呆れながら一気に板を引いた。ところがその先に道は無く、代わりに銀色の甲冑を身に纏った金髪の男が立っていた。
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