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生涯の恋人 21話

[314]  ふく  2006-10-04投稿
彼が勉強している進路資料室のドアを開けた
隣に座っていた彼の友達が私の存在に気付き彼の肩を叩いた
彼は振り返ると
驚いた顔をした
すぐ教室を出ると

「何で居るの?どうした?」

「終わったから来てみた。」

「ビックリした。メール返事なかったし。」

「ごめん。メールより直接話したかったから。」

「どうだった?」

「最悪の出来だった。多分無理かな。」
「そっか。」

それ以上は聞かなかった
相変わらず彼は優しい

「どうする?もう帰る?」

「私は帰るけど、まだ勉強してていいよ。」

彼の顔を一目見れただけで充分だった
落ち込んでいた気持ちも薄れた

「じゃあ俺も帰る。一緒帰ろう。」

「気使わなくてもいいよ、悪いし。」

「一緒帰りたいだけだよ。わざわざ来てくれたし。」

優しい笑顔にグッときた


昨日と同じように遠回りをして帰った

「あれ、飲んだ?」
「朝、家出る前に飲んだよ。」

「飲んでくれたんだ。」

彼は嬉しそうだった
彼と居ると現実を忘れることが出来た
不思議と元気が出てくる
笑顔にだってなれた

帰りは受験のことを口にするのは止めておいた
二人で居る暖かい空気を壊したくなかった
彼もまた私に受験のことは聞かないでおいてくれた

彼に会いに来て良かった
心からそう思った
今の笑顔は彼が居てくれるからこその笑顔だった

素直に『会いたかったから来たんだよ』と言えなかった自分『顔見たら元気になったよ』と言えない自分
少し悲しい

彼が支えで
こんなにも私の心を癒してくれている
本当はすごく感謝していて伝えたい言葉が沢山ある

『言わなくても分かってくれるはず』
彼に甘えている自分が居る
口にしないと分からないことだってあるのに

それは分かっているのに
素直に口に出せない

「大丈夫だよ。…根拠はないけど。」

別れ際彼が言った

「ありがとう。後は結果待つだけだから、考えても仕方ないよね。」

彼は気付いていた

私が心のどこかで気にしていたことを
落ち込んでいたことを
口にしなくても分かってくれていた

ただ
彼に会いに来た理由なんかはきっと彼には伝わっていなかった

『ごめんね。私がもっと素直な子だったら』

後悔を残したまま
いつものように彼の後ろ姿を見送った

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