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21世紀の森(ホラー)

[755]  けん  2006-10-04投稿
僕が大学一年の頃、先輩たち複数とよくドライブに行った。

 「ねぇ先輩。今日はどこ行くんですか?」

 そのとき、時刻は夜中近くを指してした。
 翌日は日曜だったので、まぁ問題はなかった。

 「楽しいとこ〜」
 運転している先輩が言った。

 「へぇ」
 僕は楽しみにしながら、車窓を流れる景色を見ていた。

 それから時間が少したち、車はやがて山道に入っていく。

 「もうそろそろって感じかな」
 後部座席の、僕の隣りにいた先輩が言う。

 間もなく、山道の途中にある、駐車場のようなところへ車が入る。

 「さて着いた〜。こっから歩くんよ」

 我々、つまり僕と4人の先輩たちは、車を降りた。
 僕は、先輩たちが歩いていく後ろについていった。

 しばらくすると、公園の入口のようなものが見えてきた。

 「さぁ、遊ぼーぜ」

 なんのことはなかった。
 森の中に設けられた、アスレチックコースだったのだ。

 ただ…

 ものすごく怖い。

 それはそうだ。夜中近くに森の中にいる自分が信じられなかった。
 まるでブレアウィッチの世界ではないか。

 内心びくびくしながらも、何とか先輩たちについていく。

 街灯なんてなかった。
 そのため月明かりのもとで、目が暗闇に慣れることを待った。

 とにかく早く帰りたい…僕はそう思い始めた。

 ふと空を見上げると、満天の星空がある。
 皮肉なほどに綺麗だった。

 恐怖と安らぎが同居するその場所に、僕はしばらくうっとりしていた。

 どんどん進んで行くと、狭い道にさしかかる。
 踏み外したら、斜面を転げていってしまう。

 我々は、携帯のわずかな光で道を照らしながら歩く。

 すると、先輩たちの携帯のバッテリーが、次々と切れていくではないか。

 結局残ったのは、僕の携帯だけだった。
 当時僕は、プリカ携帯を使っていた。

 苦労しながらも、我々はようやく元の場所に戻ってくる。

 「怖かったっすね…」

 「実はそういう場所だから…言い忘れたけど」

僕が提唱する、究極の二択。

 真っ暗な森の中、一列でしか進めない道において。

一番前と、一番後、どちらが怖いのか。

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