携帯小説!(PC版)

どす恋?

[351]  けん  2006-10-05投稿
 衝撃の朝食を終え、僕たちは一旦部屋へと戻る。

 ヒロキは妙に元気な様子で、朝食時の出来事を周りに話しだす。

 「俺、南さんと朝から間接キスしてもうたわぁ〜」
 鼻の下が伸びている。
 伸びたまま戻らなかったらいいのに。

 「ほんまけ?やるやんヒロキ。うかうかしとれんな」
 ライバルたちは明らかに動揺しはじめる。

 僕はひとこと補足してやりたかった。
 半ば強引だったよ、と。

 しかし、ヒロキは勢いづく。

 「コクる時のセリフとかポーズ考えなあかん。この帽子は絶対いるわ」
 取り出した帽子は、ウォークラリーの時にかぶるものだった。

 何の兆しも前フリもなしに、ヒロキは帽子をさっと斜めにかぶり、つぶやく。

 「南…燃えたろ?」
 意味が分からない。

 いや、正確に言うと意味は分かった。
 当時そういうのが流行っていた。
 格闘ゲームに出てくる、クールなキャラクターだ。

 「ヒロキ…お前」
 周りから声が漏れだす。 
 そうだ、思いきり小バカにしてやれ。

 「かっこええ!俺もやろっ!」
 …そんなバカな。

 皆のテンションがうなぎ昇る。
 ヒロキが何人もいるかのようだ。
 僕はどうしたかというと…

 やはりそそくさと帽子を取り出し、やった。

こういう場である。
 シラけるよりかは幾分ましなのだ。

 しかし、序盤から飛ばすヒロキ。
 はじまったばかりの林間学校。

 この二つを勘定してみて、どうしても嫌な予感を隠し切れない僕だった。

      続く

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