ハリスタリス(3)『運命の月光祭?』
…どこかで私を呼ぶ声が聞こえる…。懐かしい声…低くて…甘い囁き…。誰…?私の名を呼ぶのは…───。
「…シャ!ミーシャッ!」
「……っ…はいぃッ!」
「ったく…こんな日にいつまで寝てんだい!早く顔洗って着替えて来な!今日からハリス様のお祭りの日なんだよ!アンタがいなくちゃ話になんないだろう!?」
「あぁっ…ごめんなさい母さん!」
「いいからとっとと支度しな!」
「は…はいっ!」
「それと…──絶対に秘密を知られる様なヘマをすんじゃないよ!」
「…──はい。」
──ここはヴァルディア国ハリス島。そして今日は年に一度のお祭りの日。ハリス島の人々が信仰するハリス神(別名・アルテミス)の誕生を祝って、3日3晩様々な催しが行われるのだ。
その中でも最も人気が高い催しが、双子の月の光を浴びながら少女達が舞い踊る『月光舞』であった。昔は隣島のタリス島からも少年が舞いに参加し、双方の神を崇める形で舞を踊っていたが、十数年前から、その信仰神の違いが原因で島同士の交流が途絶え、今では祭りも単独で開催するようになっていた。
もともと祭りは王城(別名・月の城)で行われていたが、祭りの日が両島一緒のため、両島民が互いに城内で出くわすのを嫌って、各島で祭りを開催するようになったのである。
そして今年の舞姫の長に選ばれたのが彼女──ミーシャ・アルテアであった。
毎年、舞姫の長は島内でも極めて容姿が美しく、教養ある少女が選ばれることになっていた。故に長に選ばれることは、本人はもちろんその家族にとっても、とてつもなく名誉なことだった。
もちろんミーシャも長に選ばれたと聞いたときは嬉しく思ったのだが、彼女は心からそれを喜べなかった。
なぜなら彼女は、この島で生活していく上では絶対に知られてはならない秘密を抱えていたから…。
「…シャ!ミーシャッ!」
「……っ…はいぃッ!」
「ったく…こんな日にいつまで寝てんだい!早く顔洗って着替えて来な!今日からハリス様のお祭りの日なんだよ!アンタがいなくちゃ話になんないだろう!?」
「あぁっ…ごめんなさい母さん!」
「いいからとっとと支度しな!」
「は…はいっ!」
「それと…──絶対に秘密を知られる様なヘマをすんじゃないよ!」
「…──はい。」
──ここはヴァルディア国ハリス島。そして今日は年に一度のお祭りの日。ハリス島の人々が信仰するハリス神(別名・アルテミス)の誕生を祝って、3日3晩様々な催しが行われるのだ。
その中でも最も人気が高い催しが、双子の月の光を浴びながら少女達が舞い踊る『月光舞』であった。昔は隣島のタリス島からも少年が舞いに参加し、双方の神を崇める形で舞を踊っていたが、十数年前から、その信仰神の違いが原因で島同士の交流が途絶え、今では祭りも単独で開催するようになっていた。
もともと祭りは王城(別名・月の城)で行われていたが、祭りの日が両島一緒のため、両島民が互いに城内で出くわすのを嫌って、各島で祭りを開催するようになったのである。
そして今年の舞姫の長に選ばれたのが彼女──ミーシャ・アルテアであった。
毎年、舞姫の長は島内でも極めて容姿が美しく、教養ある少女が選ばれることになっていた。故に長に選ばれることは、本人はもちろんその家族にとっても、とてつもなく名誉なことだった。
もちろんミーシャも長に選ばれたと聞いたときは嬉しく思ったのだが、彼女は心からそれを喜べなかった。
なぜなら彼女は、この島で生活していく上では絶対に知られてはならない秘密を抱えていたから…。
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