大切な想い
確かあの時も雨だった。雨具を着て大粒の雨だったにも関わらず元気に駆け回ったのをかすかにだが覚えている。 雨は激しかった。あっという間に道に幾つもの大きな水溜まりを創っていく。 少年は幼かった。今よりずっと。少女もまた幼かった。少年と同じかそれ以下程に。 街の中の小さな公園。ここが子供達の唯一の遊び場であった。いつもは母子連れで賑わう公園も今日は雨の音しか響かない。そんな場所で少年は少女に出会った。雨でただでさえ誰もいない公園に一人でいる少女。少年は気になって近寄った。少女は涙を流していた。少年は戸惑った。この少女が誰で、何故泣いているのか分からないから。 少年は困惑しながらも少女に話し掛けてみた。少女は口を開かない。ただ瞳から涙を流すだけ。 少年は何度も話し掛けた。少年はやんちゃっ子だが、優しさも持っていた。故に初対面だろうと泣いている女の子を見捨てる真似はしなかった。 少女の口が開いた。とても微かな声だが確かに少女の口から漏れている。
感想
- 4127: 少年の優しさが良いと思いますよ! [2011-01-16]
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