air 36
「この女の心臓を貫いてやる。その後だ…その後にお前も殺す。」 そう言ってラッドは剣の刃先をレイの胸元までもってきた。ハウィーはなんとか立ち上がろうとしたが上手く力が入らず立ち上がれない。 「その女を離せ」 突然の聞き慣れない声、だがどこかで聞いたことのある声だった。 「…ラキ…!?」ハウィーが振り返るとあのドラゴンスケイルが立っていた。 「お前は…竜族…こいつらの仲間か?」 ラッドは剣を下ろしてその長身の男を珍しそうに見ている。 「ラキ…!気をつけろ!あいつ魔法を使ってくるぞ!」 ラキは何も言わずラッドと同じように片手を前に突き出した。 「魔法なら俺も使える」 ラキがそう言った瞬間ラッドは吹き飛ばされ壁に叩きつけられた。 ラッドはヨロヨロと立ち上がる。 「…竜族は生まれつき魔法が使えるというのは本当だったか…」 ラッドは剣を持ち直し構えた。 ラキはそれを見て背中に担いでいる大剣を軽々と抜くと構えた。 「女は後だ。まずはお前から殺す!」 ラッドは走り出しラキを攻撃した。ラキはそれを防ぐと鉄柱のように太く長い大剣を振り回した。 ラッドも攻撃を防いだがあまりの力の強さに体は宙に舞った。 なんとか体勢を立て直すと再びラキに向き直った。 「お前らは人を殺しすぎた。もう終わりだ…。」 ラキの目つきが変わった。 「俺達は命令に従うだけ、ただそれだけだ。終わるのはお前らのほうだ」 ラキはゆっくりと目をつぶり魔法を唱え始めた。 ラッドは攻撃に備えている。 一瞬辺りが光に包まれた。それと同時に工場の屋根は崩れ轟音が鳴り響き肉の焼ける臭いが工場内にたちこめた。 ラッドは強烈な電撃を受け体を震わせながら倒れた。
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