携帯小説!(PC版)

どす恋?

[364]  けん  2006-10-07投稿
 林間学校も初日、二日目が過ぎた。

 暑い中をとにかく歩き回り、一瞬にして水筒のお茶が底をついたウォークラリー。

 宿舎のお茶を補充しようとしたら、全部HOTだったことには閉口した。

 体育館のような場所では、友人同士の交流を深めた。

 自分のプロフィールが書かれたカードを首からさげて館内をうろつき、より多くの生徒と会話を交わすのだ。

 この間、ヒロキは驚くほどにおとなしかった。

 初日のあの勢いに比べると、明らかに精彩を欠いている。

 「UNOやろうぜ、UNO!」

 誰かの声にみんなが集まりだす。

 晩ご飯を食べ終わった後で、みんなそれぞれに部屋でくつろいでいる。

 ヒロキもUNO班に加わったようだ。
 もう南さんへの興味は消え失せてしまったのだろうか。

 僕は思う。
 実際のところ、勇気がないのだろう。
 逆に勢いに乗って、南さんにちょっかいをかけられても困るのだが。

 やがて入浴の時間。

 「よっしゃー!お前らも見せろやー!!」
 脱衣室でモノを振り回しながら、タケシが騒ぎたてる。

 タケシは頭が良かった。
 学校での彼の様子を見ていれば、それは自然にみんなの認めるところであった。

 しかし、途方もなく下品だった。

 学校で水泳の授業があったとき、何のためらいもなく女子の前でモノをさらした。

 「なんや、お前らのはまるで小エビのようやのう!」
 タケシは顔に笑みを浮かべる。

 「言われてますよ、ヒロキさん」
 僕はヒロキに耳打ちしてみた。

 「ほっといたらええねん」
 いつになくクールに返してきた。

 「ヒロキは大人やなぁ。下は子供やけど」
 続いて冗談をはいてみる。

 「いやいや…」
 少しあきれたように首を左右に振る。そして言い放つ。

 「お前知ってるか?この後きもだめしやねんぞ」

 たしか最終日の夜にそんなことをすると、林間学校のしおりに書いてあった気がする。

 「南さん絶対ビビりよるで。そこで俺は絶対動じたらあかんやろ。いわば大人や」

 こいつ…本当は怖いくせに。

 どうか予期せぬことがありませんように…色んな意味で。

 僕は軽く祈った。

 続く

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