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ゆっくりと流れるあの雲のように。

[525]  夢風 春  2006-10-08投稿
【プロローグ 〜カレーパン〜】







秋。

秋といえば、スポーツの秋。
秋といえば、読書の秋。
秋といえば、食欲の秋。

秋といえば―――\r

「あたしの13の誕生日っっ!!!」
「はいはい、おめでとさん」
「13っていっても、身長は139cmじゃあ、・・・・・・・・・ねぇ?」

一人の少女は片手に本を。
もう一人の少女は片手にチョコロールを。
そして、浮かれている少女は踊っている。

「っもう!うるさいよ、ミニマムっ」
「いいじゃんか、のっぽん」

通称(愛称?)ミニマムこと松本莉歌は、
「のっぽん」と呼ばれ続け、親しまれている赤坂香奈湖の愛読書を取り上げた。

「あっ、コラ!ミニマムりか!」

香奈湖は本のために莉歌を追いかける。

「チビ助、ほら。チビの好きなカレーパンだぞー」

と、莉歌の目の前にカレーパンを見せたのは秋山光(あきら)だった。

「あっっ!そのカレーパンは田中ベーカリー製の超高級カレーパンっっっ!!!」
「りか、かなの愛読書を返せばコレ、あげるけど?」

莉歌はそう言われ少しためらったものの、

「・・・カレーパンのためっ!」

と言い、あっさり愛読書を返したのであった。

「ようやく戻ってきた、私の愛読書「ロビンとマークの赤い糸」が」
「光のお陰だヨ♪」
「うん、ありがと。ふぅ、続きを読むとしますかな」


ガラガラガラ!!!


「はいはいはいはい、楽しい楽しいお勉強のお時間ですよー。みんな席ぃついてー」
「あっ、西崎先生っ!やべっ、本読めない・・・」

香奈湖はがっかりしつつ、本を急いで机の中にしまった。

「はぁ。カレーパンは次の休み時間までおあずけだぁ・・・」

莉歌もがっかりしつつ、秋晴れの空をじっと見つめていた。

ゆっくりと流れる、わた雲を見つめて。

【プロローグ END】

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