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幸運の女神-第二部 18

[577]  朝倉令  2006-10-09投稿


「まぁ、…好きな物を頼んでくれたまえ」



霧島敬二郎の奢り(半ば強引に?)で俺たちは各々のパートナーを伴い、テーブル席に収まった。



「ふぅむ、……。
君達、タレントとかに興味は無いかな?

いや、…三人共非常にいいものを持っているんでついね。 気にせんでくれ」



霧島は商売柄、これと思った者には無意識に芸能界の話を振ってしまう様だ。



「あははっ!
やっぱ『リョージ伝説』って本当だね♪」

「わたし、まだ倉沢さんとエッチしてませんよ〜?」

「ま、まだ?…麻紀ってば超ダイタンーッ!」


「…ほほう、倉沢君はそんなに手が早いのかね?」


「ケダモノですから」

「昭彦!テメッ、誤解招くだろが、んな事言ったら!」

「でもよ、恵利花ちゃんと付き合い出してから他の女連れとらんで?」

「ホント? むふっ♪嬉しいかも〜っ」


「…何とでも言え」



一見、和やかな雰囲気の中、俺たちは滅多にありつけないイタリアンに舌鼓を打つ。


ただ、客商売を長くやっている昭彦と俺はコッソリ目配せし合っていた。


いくら笑顔でカムフラージュしようと、霧島の目は決して笑ってはいない。


それは時折、隠された意図がチラリと顔を覗かせる様な強い光を帯びていた。



(このオヤジ、どうも信用出来ねーな……)



俺は、同様に油断も隙もない峠昭彦と目で頷き合い、何食わぬ顔で雑談に加わっていった。


昭彦は、虫も殺さぬ笑顔でバンドのリーダーだった俺達を次々に引き抜いていったやり手である。


唯一生き残ったクワトロも、今だにギタリスト不在の憂き目を見ているのだ。







「あの人は、油断出来ない方ですね。

視線が常に泳ぐ人は誠意が無いっていいますよ〜」

「でも、美味しいお店いっぱい知ってそうね」

「あはは、ヒナって食い気ばっかじゃん」



流石、昭彦のお眼鏡にかなっただけあり、麻紀の聡明さが光る。



後の二人はまぁ、……天然素材って事で…。





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