猫に人体模型
猫のアヌビスが我が家に戻って来る度に、私は彼からプレゼントを貰う。
初めは、彼のプレゼントに私は戸惑っていたのだけれど、知人から、それは親愛の証しだ、と言われたのを思い出して、黙って受け取ることにしている。それにしては、些か常軌を逸しているプレゼントだと思うのだが。
彼が持ってくるのは、人体模型のパーツである。眼球、指の第一関節、踝、鼻、前頭葉。およそ、人間に関するありとあらゆるパーツを、彼は届けてくるのだった。
ある日、このままでは部屋が散らかってしかたがない、と私は思い、それらを組み立てることにした。
日を追うごとに、それらが人のかたちをとるにつれて、私はその人体模型に奇妙なテジャヴを覚えるようになった。
しかし、どうしても思い出せない。とりあえず、この件は保留にしておいて、私は作業を続けることにした。
ようやく、人体模型が完成する日が来た。私は最後のパーツを人体模型に嵌めた。その刹那、呼び鈴が鳴った。私は舌打ちをして、玄関に向かった。
男が神妙なかんばせで、私を見ていた。男は私の部屋の中を見る。私も男に倣う。
ああ、思い出した。
私は微笑して、男に両手を差し出した。「私がやりました、刑事さん」
初めは、彼のプレゼントに私は戸惑っていたのだけれど、知人から、それは親愛の証しだ、と言われたのを思い出して、黙って受け取ることにしている。それにしては、些か常軌を逸しているプレゼントだと思うのだが。
彼が持ってくるのは、人体模型のパーツである。眼球、指の第一関節、踝、鼻、前頭葉。およそ、人間に関するありとあらゆるパーツを、彼は届けてくるのだった。
ある日、このままでは部屋が散らかってしかたがない、と私は思い、それらを組み立てることにした。
日を追うごとに、それらが人のかたちをとるにつれて、私はその人体模型に奇妙なテジャヴを覚えるようになった。
しかし、どうしても思い出せない。とりあえず、この件は保留にしておいて、私は作業を続けることにした。
ようやく、人体模型が完成する日が来た。私は最後のパーツを人体模型に嵌めた。その刹那、呼び鈴が鳴った。私は舌打ちをして、玄関に向かった。
男が神妙なかんばせで、私を見ていた。男は私の部屋の中を見る。私も男に倣う。
ああ、思い出した。
私は微笑して、男に両手を差し出した。「私がやりました、刑事さん」
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