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平安☆美人の法則!!?

[359]  杏奈  2006-10-12投稿
これに驚いた左大臣・兼光は、帝の仰せを直ぐ突っぱねるワケにもいかず、ふたつ返事をしてその場を凌ぎ、急いで──それはもう隼の如く急いで──伊織姫の元へ使いを出し、コトの成り行きを姫に説明しました。

もちろん、宮中でいじめられてばかりで、ろくな想い出がなかった伊織姫は、泣いていやがりました。しかし帝の仰せとあらば断るわけにもいかず、(父の泣き落とし作戦も功を奏して)渋々帝付きの女房として帝に召し使えることになりました。

そして伊織姫が帝付きの女房として出仕する最初の日。
かの有名な醜女が、帝付きの女房として宮中に召し使えるという噂を聞き付けた人々で、宮前には黒山の人だかりが出来ました。
それなりに美しい姫でも、滅多に宮仕えをすることは出来ないのに、京で一番の醜女と噂される伊織姫が女房として──しかも帝付きとして──宮仕えをするというから、みんな伊織姫の面を拝んで、「厚顔な醜女が思い上がるな」とばかりに、からかってやらんと集まったのです。
しかし、いつまで待っても肝心の伊織姫の乗った牛車はやってきません。それもそのはず、伊織姫は人々からの罵詈雑言を恐れ、わざわざ遠回りをして裏門から宮中に入っていたのです。

当然、待てど暮らせど宮前に伊織姫が現れることはなく、夕刻には人だかりもすっかり小さくなり、やがては最後の一人も去って行きました。


…その頃、無事宮中に到着した伊織姫は、小さい頃から召しかかえている女房・螢とともに、人目を避けて宮中の庭の木陰で休んでいました。
するとそこへ一人、位の高そうな男性が、回廊を独り歩いてやって来るではありませんか。

伊織姫は姿を見られまいと急いで逃げようとしましたが、男性は、めざとく伊織姫を見付け、しかも見付けるなり驚いた顔をして立ち尽しました。
その驚きようといったら、まるでこの世のモノではないモノを見たかのようでした。

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