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その言葉だけ

[369]  Mikko  2006-10-13投稿

静まり返る



一人だけの教室



さっきまで




みんなの涙と



それと同じくらいの



笑顔が




まだそこにあるようで





静かな中にも





温かさがあった







自分のだった椅子に座る





そして隣を見る





最後まで





私は目で追うことしか出来なかった





まぶたの裏に





彼の笑顔が焼きついている






明るい笑顔が




少し低い声が




大きな手が





そして




私の横で





私しか知らない





可愛い寝顔が







好きだった







最後まで私は





この気持ちを伝えることは出来なかった








彼との思い出全てが




涙で曇る






茶色く落書きの多い机に




涙が落ちる






開けっ放しの窓から




冷たい空気が入り込む





窓を閉めようと




立ち上がると







一人の人間が





窓際に立っていた








その人間は






ゆっくりと私の隣に






腰掛けた






心臓が全力疾走するように





激しく波打つ





それを必死に押さえて






言わなくちゃ







その言葉を







その言葉だけで









世界は変わる










また冷たい空気が




私と彼の頬をかすめる






胸に飾った




赤いコサージュが





少し揺れた










―好き―\r




震える唇で言えたのは




それだけ




でも


その言葉







その言葉だけで





私の世界は変わった







彼が笑った







今までで一番






愛しい笑顔で























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