その言葉だけ
静まり返る
一人だけの教室
さっきまで
みんなの涙と
それと同じくらいの
笑顔が
まだそこにあるようで
静かな中にも
温かさがあった
自分のだった椅子に座る
そして隣を見る
最後まで
私は目で追うことしか出来なかった
まぶたの裏に
彼の笑顔が焼きついている
明るい笑顔が
少し低い声が
大きな手が
そして
私の横で
私しか知らない
可愛い寝顔が
好きだった
最後まで私は
この気持ちを伝えることは出来なかった
彼との思い出全てが
涙で曇る
茶色く落書きの多い机に
涙が落ちる
開けっ放しの窓から
冷たい空気が入り込む
窓を閉めようと
立ち上がると
一人の人間が
窓際に立っていた
その人間は
ゆっくりと私の隣に
腰掛けた
心臓が全力疾走するように
激しく波打つ
それを必死に押さえて
言わなくちゃ
その言葉を
その言葉だけで
世界は変わる
また冷たい空気が
私と彼の頬をかすめる
胸に飾った
赤いコサージュが
少し揺れた
―好き―\r
震える唇で言えたのは
それだけ
でも
その言葉
その言葉だけで
私の世界は変わった
彼が笑った
今までで一番
愛しい笑顔で
感想
感想はありません。
「 Mikko 」の携帯小説
- 【携帯版】多賀城[たがのき]の携帯サイトが完成しました。
- PC用小説サイト新設のお知らせ
- 「携帯小説!」がスマートフォンに対応しました
- 【状況報告】03/18の管理人現況
- 【ネット復活】更新再開
- 管理人です。
- サイトの新デザインを作ってみました。