平安☆美人の法則!!?
父こと左大臣が月乃に見送られて、宮廷から邸宅に放心状態で戻ってきた頃──伊織姫と従女・螢が、規定の出仕時刻よりだいぶ遅れて裏門から入殿しました。
人目を避けるため車は使わずに歩いて宮廷に行き、しかも念を入れて遠回りしたために、(実際歩いた距離は１里にも満たない程度だったにもかかわらず)姫はかなり疲れていました。
それもそのはず、いくら醜女とはいっても伊織姫は、かの左大臣の二の姫ですから、それなりに『深窓のお姫さま』生活を送っているのです。外出は車が基本、身の周りの世話は螢が焼いてくれるし、宮中に出仕する以外はほとんど外出なんてしませんでした。
ですから裏門から入殿したとき、偶然見えた庭に大きな桜の木があるのを見付け、相当に疲れていた伊織姫達は、思わずそのまま木陰で休んでしまいました。
するとそこへ、独りの男性がこちらに向かって優雅に歩いてくるのが見えました。
そして男性は、庭が見渡せる位置まで来ると、夕日の眩しさに目を一瞬細め、次に桜の木に目を移しました。そして桜の木の下に伊織姫達がいるのに気付き、驚きと警戒心の混ざった顔をして、伊織姫達の方を見つめました。
伊織姫達は、男性がこちらを見ているのに気付き、内心(侵入者と間違われてしまいますわ！)と慌てふためき、急いでこの場を立ち去ろうと思いました。そして立ち上がろうとしたとき──ビリッという嫌な効果音と共に、伊織姫の着物の裾が破れてしまいました。どうやら、着物の裾を木のササクレに引っ掛けてしまったようなのです。
しかし姫は「そんなことにはかまっていられない」とばかりに、裾の破れを木にも留めず、再び立ち上がろうとしました。
人目を避けるため車は使わずに歩いて宮廷に行き、しかも念を入れて遠回りしたために、(実際歩いた距離は１里にも満たない程度だったにもかかわらず)姫はかなり疲れていました。
それもそのはず、いくら醜女とはいっても伊織姫は、かの左大臣の二の姫ですから、それなりに『深窓のお姫さま』生活を送っているのです。外出は車が基本、身の周りの世話は螢が焼いてくれるし、宮中に出仕する以外はほとんど外出なんてしませんでした。
ですから裏門から入殿したとき、偶然見えた庭に大きな桜の木があるのを見付け、相当に疲れていた伊織姫達は、思わずそのまま木陰で休んでしまいました。
するとそこへ、独りの男性がこちらに向かって優雅に歩いてくるのが見えました。
そして男性は、庭が見渡せる位置まで来ると、夕日の眩しさに目を一瞬細め、次に桜の木に目を移しました。そして桜の木の下に伊織姫達がいるのに気付き、驚きと警戒心の混ざった顔をして、伊織姫達の方を見つめました。
伊織姫達は、男性がこちらを見ているのに気付き、内心(侵入者と間違われてしまいますわ！)と慌てふためき、急いでこの場を立ち去ろうと思いました。そして立ち上がろうとしたとき──ビリッという嫌な効果音と共に、伊織姫の着物の裾が破れてしまいました。どうやら、着物の裾を木のササクレに引っ掛けてしまったようなのです。
しかし姫は「そんなことにはかまっていられない」とばかりに、裾の破れを木にも留めず、再び立ち上がろうとしました。
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