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熟レユク青林檎タチヨ〜梓の場合〜?

[370]  キサト  2006-10-14投稿
そんな梓と全く違う、イマドキの女子高生ユカに初めはマコトも食いついた。
 −ユカ、好きなことは何?−
 −好きなことは、気持ちいいこと。−
 −なら、嫌いなことは?−
 −気持ちよくないこと(笑)−
 梓は、本来の自分なら絶対にありえない会話を、マコトと楽しんだ。気持ちいいことが何で、気持ちよくないことが何かもわからないが、とにかくユカを演じそんなユカに梓自身もハマっていったのである。
 しかし、マコトはどんどんエスカレートしていった。
 −ユカはどこが感じるの?−
 −どんなことをして欲しい?−
 自分から足を踏み入れた世界での会話。こんなものだろうと心の準備はしていたが、実際にこのような会話が続くと、梓に会話を捌くことはできなくなった。。
 −マコト、私そういうの飽きたんだ。だから、マコトとはたわいもない内容でメールしたいだけなんだ。単なる暇つぶしでさ。−
 梓がマコトとの関係が終わるのを覚悟で、ハッキリとそうメールを送った。
 −わかったよ、ユカ。ごめんね。−
 意外とマコトは素直に受け入れてくれた。それから、たわいもないメールをマコトと毎日交わすようになったのである。
 −おは、マコト。−
 −って、おはじゃないよ。もう昼だよ?−
 −今日は授業が午後しかないからさ。遅くまで寝てました(笑)−
 −サボらずにちゃんと学校に行けよ。−
 −は〜い。またメールするね。−
 こんなどうでもいいメールでも、楽しいと梓は感じていた。マコトはどうか知らないけれど。次第に梓はマコトのことを考えるようになった。何をしてんだろう、早くメール来ないのかな、とか。
 これって恋なのかな。いつか聞いたことがある。「気になり始めたらそれは恋」だと。その定義からすると梓のマコトに対するこの感情は「恋」であった。
 しかし、梓はその恋かも知れない感情を押し潰していた。何処の誰かもわからないマコト。声も聞いたことがない、顔も見たことのない男性を好きになるなんて自分でも信じたくなかったし、誰にも言えなかった。口が裂けても、「出会い系で知り合った、顔を見た事もない男」を好きになったなんて誰にも言えるわけがなかった。

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