柔らかな風 天国へ続く道
風が俺を通り抜ける。山々に囲まれた壮大な草原。柔らかな春の風に、新緑の草たちがなびいていく。不思議と心地よい喪失感。今は、自分のなかには何もないかに思えた。真っ白なキャンパスに、アクアブルーを塗りたくったような青空。耐えることなく太陽から発せられる光は、確実に俺の体を包み込んでゆく。生きていくことが面倒くさい。ただ、何もせずにここにいたい。この壮大な草原は、死ぬことすら許さない。ただただ、この草原に縛り付けられていた。
俺はそっと、手にしていた袋を開いた。グレー色の布で出来た袋だ。懐かしいにおい。求めていた温もり。中に入っていた物を取りだし、草はらにおいた。同時に、あの日々の一つ一つが、あの空に吸い込まれていく気がした。蘇る。頭の中に、最初に出会った日が写し出された。
俺はそっと、手にしていた袋を開いた。グレー色の布で出来た袋だ。懐かしいにおい。求めていた温もり。中に入っていた物を取りだし、草はらにおいた。同時に、あの日々の一つ一つが、あの空に吸い込まれていく気がした。蘇る。頭の中に、最初に出会った日が写し出された。
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