時代(とき)を超えた青春*忠義
彩は、さつきの亡骸をぎゅっと抱き続けていた。さつきは二度と目を開かなかった…。 その頃、白虎隊は戦場へ向かうべく山道を歩いていた。辺りには銃声や男達の声が鳴り響いている。そんな時、儀三郎が悌次郎に話掛けた。「なあ、悌次郎、彩さんとは…会ってきたのか…?」「な、なんでそんな事…」少年達の目線が一気に悌次郎に集まる。「みんな気付いてるぞ、彩さんとお前が恋仲って事…」儀三郎は何故か沈んでいた。周りは悌次郎を囃し立てる。「何しろ手作りの物貰ったんだもんな!な、悌次郎!」源吉が言い、次いで貞吉も言う。「この前俺、茶屋に入る彩さんと悌次郎見たぞ!」「うるせぇ!馬鹿野郎!お前ら何でそんな浮かれてんだよ!戦だってのに…」「知り合ったばかりなのに…今日別れたのは辛かっただろ…?」源七郎が静かに言う。「ああ…辛かった。彩さんには…絶対死んで欲しくない…この戦に、彩さんは関係無いからな…」悌次郎は呟いた。「好きって言ったのか?」儀三郎が問い掛けた。「…言ったら、余計別れ辛くなるだろ…」「…そうか…俺、彩さんの笑う顔…好きだったな…幸せそうで…もう一回…共に…話したかった…」儀三郎はふっと笑うと、空を見上げた。「でも…無理だな…俺達は戦に出るんだもんな…もう会えない」「儀三郎…お前…もしかして」悌次郎は儀三郎の気持を察した。そして、白虎隊の少年達は戦場へ段々近付いていった…(続)
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