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扉のむこう 〜鬼越と扉〜

[596]  奈海  2006-10-17投稿
職員室までくると、鬼越がこちらを睨みながら手招きした。


「あなたたちはなぜ授業に遅れたのですか?」


「図書室いってたんすよ。そんで本読んでました」


千夏が答えた。


「なんの本を読んでたんです?」

鬼越は授業のことより本の方が気になるようだった。


「『漣学園のすべて』です」


それを聞いた鬼越は一瞬血相をかえた。だがすぐにいつもの顔にもどった。


「そんなくだらない本なんか読むより勉強なさい」


「気になることがあったから読んでたんすよ。悪いんすか?」


千夏は少し頭にきたのか口調が怒っているように聞こえた。


「気になること?それはなんです?」


「『扉』についてです。かなり気になってしまったので調べていました」


美樹は冷静に答えた。


「『扉』ですって?本当にくだらない。ほら、次の授業がはじまります。さっさと教室にもどりなさい」


鬼越からは焦っているような言い方をしていた。


「「「「は〜い」」」」


美樹たちは怒りを抑えながら職員室をでた。



「ばかな子たちね。クスクス」


鬼越は笑っていた。まるで、鬼のような顔をしながら。


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