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バスターズ!・第65話 「揺れる」

[392]  博上 文  2005-12-27投稿
間一髪、龍一の手は頸動脈を切る寸前の皮一枚で、止まった。
「‥‥‥?」
ふるふると震える床、カタカタと揺れる窓、そして腹に響き渡る重低音。
間もなく、それらは止んだ。
「なんだったんだ‥‥?」
龍一は立ち上がると、音のした方へと進み始めた。

(‥‥‥外?)

龍一は死ぬのは音の原因を確認してからでも遅くはないと思っていた。
ただ、気になっただけではなく、それ以上に何か強い胸騒ぎが、嫌な予感が龍一の不安を駆り立ていた。


音の元をたどると、正面玄関とは逆側の扉が待ち構えていた。恐らくこの向こうは、屋外だろう。

【ズゥン‥ズゥン‥】

向こう側から、さっきの重低音と似たような音が聞こえる。
なぜか、ドクリと心音が高鳴った。
(足音‥‥)
龍一は、カギをはずした。そして、把手に手をかける。
【ギゴ‥ギギ‥ギ、ギーッ】
あからさまに不吉な音を立て、錆付いた扉はその口を開いた。

============彩握高校:グラウンド
【時、停止中】24止分

龍一は扉をくぐり、グラウンドに出た。
ライトは付いていないが、校内より幾分かは明るい。学校の周りの民家が、辺りを薄く照らしていた。

その真ん中に、龍一は見つけた。音の元凶を。
薄暗い中でも、はっきりとわかる。

(なんだ‥こいつは!?)

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