安いバイク其の四
カーブはどんどんきつくなってゆく。しかし、前のバイクをただ無我夢中で追う。もう後ろの女も気にならないほど僕は夢中になっていた。すると、急なカーブが少し遠くに見えてきた。しかし、前のカップルはおかまいなしに突っ込んで行く。あのスピードで突っ込んだら間違いなく死ぬだろう。僕はブレーキに手をかけた。しかし、ブレーキが効かない。「ちょっ、なんでだよ?」ヤバい!このままじゃ死んじまう。一か八かだ。アクセルを全開に開けて体重をうまくのせてバイクをコントロールする。曲がりきれぇ!僕はただひたすら祈った。ガッシャアン…ズザザザザ‥前のバイクは無残にガードレールにぶつかり回転しながら転がっている。僕も曲がり切れず、ガードレールに同じようにぶつかり放り出された。そして、後ろの女はタンクに必死に爪を立てながら耐えようとしているが、その態勢のままバイクと一緒に回転しながら悲鳴をあげている。僕は、あまりの痛みに気絶した………。 僕はうっすら目を開けた。「大丈夫か?」仲間の顔があった。周りは暗かった。バイクはボロボロだった。「このカーブは気をつけろって言っただろ!」僕はまた目の前が真っ暗になった……。
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