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恋ごころ 第三抄 第一話

[542]  浅川悠  2006-10-20投稿
今日から休みだ。

…とは言っても土曜が学校だったから日曜一日しかないけど。

いつものように朝9時に起きる。

悠香がテーブルの上に突っ伏して寝ている。

机の上には数学や情報の教科書、ノートと筆箱が置いてあった。

何故か筆箱の中身は入っていなかったが。

それにしてもどんな勉強をしているのか気になり、ノートを覗く。

「ぷっ…」

思い切り吹き出した。

何故ならノートには、イラストしか書いていなかったからだ。

まあ、俗に言うところのボーイズラブと言う事は解った。

気付かれる前に退却したほうがいいと判断し、その場を離れた。

親父と話をしていると、インターホンが鳴った。

出てみると多村がそこにいた。

「多村!?何でお前がここに?」

「驚くことはない。家はすぐそこだからな。」

そう言って目の前の家を指差す。

確かに表札には、薄い色で多村と彫ってある。

何で今まで気付かなかったんだ…

「まあ、俺が怪我しちまったからよ。お前に頑張ってほしいと思ってな。ほれ。」

そう言って多村は指にはめるゴムリングをくれた。

「これ…お前が大事にしてるお守り代わりじゃないか。こんなものは貰えない。」

「いいんだ。俺にはもう必要ないものだしな。」

そういって多村は無理矢理にそれを渡すと出ていってしまった。

「しょうがないな…」

俺は五日後の大会に向け頑張ることにした。

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