携帯小説!(PC版)

トップページ >> SF >> 宇宙戦隊・21

宇宙戦隊・21

[458]  豆宮  2006-10-20投稿
「私も行くぞ!」
振り向くとテシが立っていた。
「嫌とは言わせないからな」
「…止めねぇよ」
コウにはテシの意志の強さが良く分かっていた。止めても無駄だろう。それに仲間がいてくれた方が心強い。
『…私も止めないよ』
サリは薄く微笑んだ。
『バルア星に行くにはちょっと問題があるんだ…液に侵食された場所は土地のエネルギーがほとんど失われるからテレポートで行くのは不可能に近い』
「じゃあどうすれば…」
『バトルシップを使うよ』
サリは二人を地下の格納庫に案内した。
『テレポートより時間はかかるけどバトルシップで行けばバルア星のエネルギーも必要としないしね』
サリは一つの宇宙船を指差して言った。飛行機の胴体部が円錐型になったような形で、見た目は小さめだが内部は五人乗りで意外と広い。
「ところで…その液って攻撃しようとすると毒ガス出すんだろ?どうやって倒せば良いんだ?」
『そうだね…ねぇ皇太子。君とテチ王子が乗ってきたボートに何か武器はある?』
「電気砲くらいしか…」
『それで十分だよ。持って行ってくれるかな?』
「了解した」
テシは同じく格納されていたボートから電気砲を取り出してバトルシップに乗せた。
『あと、バルア星は酸素量がここの半分だから…コウは大丈夫だけど皇太子には酸素マスクを…』
「問題無い。エング星王家では様々な星と交流を持てるよう、生まれながらに酸素チップを肺に埋めこんである」
『なら大丈夫だね。じゃあ二人ともバトルシップに…』
「待って!!」
声のした方を振り向くと、格納庫の入り口にテチが立っていた。
「テチ!待ってろと言っただろう!」
「僕も戦う!」
「お前はまだ幼いんだ!遊びじゃないんだぞ!」
格納庫にテシの怒りの声が反響した。
「僕は戦えるよ!いつまでも子供じゃないよ…エング星の為にも多くの星を救いたいんだよ…」
テシは言葉を失った。テチは、最初から知っていたのだろう。エング星の辿った運命を。
テシは何も言わずにバトルシップに乗り込んだ。テチが隣の席に座りこんでも、もう文句は言わなかった。
「テチ」
「何?兄ちゃん」
「すまない…」

二人は目を合わす事無く静かに泣いた。
コウはサリに言われた通りに発射用の赤いボタンを押した。エンジン音が二人の泣き声を消してくれた。

感想

  • 4605: 面白いです!! [2011-01-16]
  • 5047: 感想ありがとうございます!そう言って貰えて凄く嬉しいです。未熟ですが頑張ります! [2011-01-16]
  • 5048: 感想ありがとうございます!そう言って貰えて凄く嬉しいです。未熟ですが頑張ります!by豆宮 [2011-01-16]

「 豆宮 」の携帯小説

SFの新着携帯小説

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス