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西蔵(チベット)

[408]  ゆきな  2006-10-20投稿
舗装されていない道を車で走っていると、

しばしば可笑しな物に出くわす

今回もそうであって、私は迷わず車を止めた

石が私のヒザくらいの高さまで積まれていて、

赤、黄、青の布がはためいている

目の前に少女が一人、立っていた

「これは何?」

身振り手振りで伝える

「お墓よ」

「お墓?」

聞くところによるとこの辺りは「鳥葬」といって、

山頂などに死者の遺体を運んで、鳥に食わせる葬りかたが一般らしい

「体に宿る多くの神々が天に帰るのを、助けてさしあげるのよ」

少女は目をつむり、手を組む

肉などはもう鳥に食われて、

骨だけになっている死骸が

横たわっていた

夕闇の光が

少女と死者を照らしていた

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