シリウス
その娘は自分にとって冬の夜空のシリウスのような存在。身近に感じ、届きそうなほど輝いているが、手を伸ばせばいつも空をきる。この気持をいくら抑えてきただろうか…。その娘の満天の星空のような微笑みを身近で観てきた。その度、抑えようのない胸の苦しみを抱いて自分に言い聞かせる。「駄目だ。」と。
その娘には好きな男がいた。自分は名前も顔も知らないが、明らかに自分に目を向けてても更に先を見るような目。自分はその娘が好きであったが、唯一好きになれない目だった。その遠くを見るような目で見られる度、自分は胸の苦しみにさいなまれる。その度に自分の気持に嘘を吐いてきた。だが、自分の内におさえきれない黒い感覚が徐々に大きくなるのを感じはじめていた。秋の晴天のなかに光輝く太陽を隠す雲に似た黒い感覚だった。
その娘には好きな男がいた。自分は名前も顔も知らないが、明らかに自分に目を向けてても更に先を見るような目。自分はその娘が好きであったが、唯一好きになれない目だった。その遠くを見るような目で見られる度、自分は胸の苦しみにさいなまれる。その度に自分の気持に嘘を吐いてきた。だが、自分の内におさえきれない黒い感覚が徐々に大きくなるのを感じはじめていた。秋の晴天のなかに光輝く太陽を隠す雲に似た黒い感覚だった。
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