シリウス 8
(今度はしっかり口説けよ)自分の中の黒い感覚は更に語り掛けてきた。
「できないよ。」
自分は独り言のように呟く。
(はっ、そんなんだからテメーは駄目なんだ。あの女だって、もしかするとテメーの事が好きかもしれねーじゃねーか。)
「有り得るわけないだろ、そんなこと。」
大きく頭を振る。自分のなかの声をかき消すように。もう黒い感覚は話しかけてこなかった。ホッとしながら“かえで”にメールを打つ。
「解ったよ。俺で良ければいつでも相談のるよ。」
メールを打ち終わると部屋の中ではいつもの静寂さを取り戻していた。
翌日の仕事はいつも通りの忙しさだった。全てがいつも通り。職員の話声も、“かえで”の笑い声も。ただ一つ違うとすれば、自分の中の黒い感覚の声の大きさだった。昨日振り払った筈が、以前よりも大きく聞こえる。
(ハッ。早くしねーと他の男に取られちまうぜぇ。)
グッと拳を握る。そこへ
「できないよ。」
自分は独り言のように呟く。
(はっ、そんなんだからテメーは駄目なんだ。あの女だって、もしかするとテメーの事が好きかもしれねーじゃねーか。)
「有り得るわけないだろ、そんなこと。」
大きく頭を振る。自分のなかの声をかき消すように。もう黒い感覚は話しかけてこなかった。ホッとしながら“かえで”にメールを打つ。
「解ったよ。俺で良ければいつでも相談のるよ。」
メールを打ち終わると部屋の中ではいつもの静寂さを取り戻していた。
翌日の仕事はいつも通りの忙しさだった。全てがいつも通り。職員の話声も、“かえで”の笑い声も。ただ一つ違うとすれば、自分の中の黒い感覚の声の大きさだった。昨日振り払った筈が、以前よりも大きく聞こえる。
(ハッ。早くしねーと他の男に取られちまうぜぇ。)
グッと拳を握る。そこへ
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