雪の華22
「分からない?」
朱斐は顔を上げる事は出来ず、うつ向いたまま無言。
「──あなたは駒で駒のくせに白藍以外を見る。白藍はよそ見をしていないのに」
「私…は…」
グイグイ引っ張り黄藍はどこかに向かっている。
朱斐は抵抗せず、黄藍について行く。
「──……こ…こは?」
小さな家。だけど暖かい。心和む雰囲気。
「入れ」
ドアの鍵を開け、朱斐に中に入るよう促す。靴を履いたまま、土足で中に入る。少し溜ったている埃の床に靴の跡が残る。
「あの…」
黄藍は窓を片っ端から開けていく。窓に積もっていた埃が舞い、鼻と口に入る。
「小さな家だろ? 平屋で部屋数も少ない」
朱斐は中庭に通じるドア窓に触れ、振り向く。
「──……小さくても家だわ。それに暖かい」
「──……ここは俺の母が住んでいた家だ」
「えっ? なら白藍のお母様が…」
「違う」
黄藍は、棚に伏せられていた写真立てを、手に取り、軽く拭くと朱斐に手渡した。
朱斐が受けとる。
「これは……」
「俺達の母親は双子だった。俺達の間柄は正式にはハトコだ」
「でも白藍は……」
「白藍は知らない。双子だと思っている」
朱斐は黙って写真を見つめる。白藍と黄藍に似た女の人達が仲良く微笑んでいた。
「何が……言いたいの? 私に……」
「ウザイ……んだよね」
「……」
「駒のくせに好き勝手な行動。白藍を傷付ける。お前は──」
朱斐の顔は微動もせず、平静だった。
「──……駒だからこそ役割を務めればいいだけでしょ? 例え私が白藍以外を好きでも結婚と言う契約をすればいいだけ」
「ふざけるな!! 妻になる女が、他の男を想う何て許されない! 白藍はそれが平気な奴じゃない!!」
「想う──だけでも許されないの?」
「──ッ!」
朱斐の言葉に黄藍は怒り、それを朱斐にぶつけた。
バンッ──
「キャア──!?」
朱斐の腕を押さえ、壁にたたき付けた。
二人の顔は至近距離にある。
「白藍はまだお前を妻にしてないし、好きでも無い。破談にさせる為に、俺とお前が深い関係になればいい」
腕を押さえ、朱斐の唇に近付く。
「イヤ…止め……イヤァァァァァ──────!!」
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