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キスとの距離(5)

[352]  大塚楓  2005-12-30投稿
目が覚めるといつもと変わらない朝だった。
僕の隣には、君が安らかに眠っていた。
その姿を見ると、僕はとても安心した。

美しいその寝顔を見ると、そっと髪に触れた。
髪を撫でると、額にキスをし君の携帯に手にすると
電話を鳴らした。

電話に出ると、あの人だった―・・優しい声の持ち主だった。
全てを話すと、君を迎えに来るといい電話を切った。
電話を切ると、君を見つめた・・安らかに眠っている君を見ると
たった一言

「愛してる・・」
そう呟くと、一粒の涙を流した。
”これでいいんだ”
何度も自分に言い聞かすと、しゃがみ込み涙を流してしまった。
こんなになるほど、貴方を愛しているのに・・手放したくはないのに。

そう思うと、涙が止まらず声を殺して泣いていた。
君には、聞こえないように泣いていた。
ガラスのテーブルの上から、シルバーの指輪を見つけると
君の指にはめた。

シルバーの指輪をはめると、切なく輝いていた・・
君の姿を目に何度も焼き付けていた。
このまま、君を連れて何処かに行きたい。誰も知らない所へ―・・

その時、玄関をノックする音が聞こえた。
眠っている君を抱きかかえると、ドアを開けた。
ドアを開けると、そこにはあの人が立っていた。

僕と、目を合わせずに君を渡すと何も言わずに出て行った。
静まり返った部屋に戻ると、窓を見つめた。
君を抱きかかえ、車に乗る姿があった。

僕の眼には、涙が溢れていて君の姿が見えないでいた。
車が行くと、泣き崩れていた・・
”これでいいんだ”
と何度も自分に言い聞かせたが、君がいない現実に受け止められなくて
泣き崩れていた。。










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