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15歳のデイトリッパー?

[413]  けん  2006-10-26投稿
目が覚めた時、辺りはまだ薄暗かった。

反射的に時計を確認する。
午前5時過ぎ。
二度寝しようものか、少し悩む。

「ふぁぁ…」
あくびをしながら周りに目をやる。

部屋のあらゆるものに早朝の空気が染みこんでいた。
そんなひんやりとした静けさの中、私は再び心地良い眠りに入る。

「二度寝してるやん!」
友三の甲高い声が耳に飛び込む。

「なんやねんな…」
朝一番のツッコミにやや不機嫌になる。日曜だからなおさらだ。

「ほら行くぞ!着替えて、釣竿持って」


■□■□■□■□■□


その野池は驚くほど釣れた。

結局、大小合わせて20尾は釣り上げたと思う。
普段は3〜4尾釣れれば満足している私なのだが。

ここはれっきとした釣りの穴場だった。

「むっちゃ釣れるやろ?」
友三がにやりと笑う。

「面白いほど釣れよるわ」
私もにやりと笑った。

そうして我々は、魚を食べずしてある種の満腹感を味わった。

「ほなそろそろ移動しよっか」
友三が時計を見ていう。

もう昼近くになっていた。
「そやな。で、どこ行こっか」

それから我々は町に出てみた。
田舎とはいえ、色んな店が建ち並んでいる。
大型の電器店もちゃんとあるのだ。

「やばい。これは買いやろ」
我々はCD屋にきていた。
専用の画面の中で、デビューしたてのパンクバンドが歌っている。

「Tokyo…東京?激しい曲やなぁ」
友三も少し気に入ったようだ。

店を出て、近くにある牛丼屋で昼食をとった。

「明日からまた学校やなぁ」

「そやな。今日の夕方までには家に帰らんと」
私は少し気が重かった。
あの長い道のりをまたチャリで帰るのか…と。

「よし。とりあえずおばあちゃんちに戻ろか」
我々の短い夏の旅がもうすぐ終わろうとしていた。



続く

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