携帯小説!(PC版)

廃墟

[514]  けん  2006-10-26投稿
男は山間の道路脇に車をとめ、煙草に火をつけた。


そして闇にそびえ立つ廃病院を見上げる。


巷では廃墟ブームが巻き起こっていた。


廃墟の魅力にとり憑かれた人々は口を揃えていう。


あの独特の虚しさがいい。まさに滅びの美学だ、と。


懐古主義を語りはしないが、男もそんな廃墟好きの一人だった。


『XX記念病院』

1988年創立と書いてある。


この廃病院は廃墟の中でもとりわけ有名だった。

廃墟としての価値があるわけではない。

最近ネット上で妙な噂が囁かれているのだ。


“この廃病院を訪れた者はその後必ず行方不明になる”という。


男はその謎を確かめるべくこの場所にきた。


月の光が不気味に廃墟を照らし出す。


男は意を決してその中へと入っていった。





続く

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