綴じてやる
俺は奴が嫌いだ。あのしぼみかけの皴面の上の小高い鼻に乗っかった、油を塗ったくったような虹色レンズの黒縁。砂漠のような額。硬そうなうごきに比例した融通のきかない思考。加えてあの世界の支配者のような笑い方。奴に今度会ったら二度と口が開かないよう、ホッチキスで綴じてやろうと思ってるところなのさ。「おはよう田村くん」奴が俺の肩を馴れ馴れしく叩く。俺は蝿を叩き落とすより早く奴の口をホッチキスで綴じる。当然俺は逮捕された。今度はホッチキスで自分の口を綴じておいた。もちろん裁判で不利な発言しないようにな。
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