夢から覚めたら(第三夜)
ー 第三夜 ー
再び部屋に一人。
…どうしよう……。
中学生の頃、バカな男子同士で集まって「もしも女に生まれ変わったらどうする?」などと妄想トークを繰り広げた覚えがあるが、実際に、本当に「そうなってしまった」今のオレには、当時、描いていた「浪漫」のほんの一つも行動に移す事は出来なかった。
ただただ、その場に立ち尽す事しか出来なかった。
ある日、目が覚めたら突然オンナになっていたのだから、また急にオトコに戻るだろう。
そんな考えしか浮かばなかったオレはその日から一歩も部屋の外には出ず、寝ては起き、起きては寝るという生活を続けた。
3日経ち4日経ち、何の変化も無いままに一週間が過ぎた。
その間、親友が様子を見に来てくれた事もあったが、夏風邪が長引いていると言って誤魔化したり、居留守を使ってやり過ごした。
そして一ヶ月目。
精神はオトコのままではあったが、身体の方は完全にオンナになってしまった。
野球部の鬼監督にシゴかれた筋肉はすっかり落ちてしまい、何よりも、「あの日」がオレにもやって来た。
オレは学校も、親友も、家族も、全てを捨てる決心をした。
10万+aの貯金と僅かな食料だけを手にし、その他の一切をそのままにして部屋を出た。
しばらくして、恐らく家族が捜索願いを出したのだろう、新聞やテレビでもオレの事が取り上げられた。
警察は事件・事故の可能性も考えていたようだが、オレが発見されるはずも無かった。
やがて所持金も底を尽き、今いる場所がどことも分からず、行く当ても無くフラフラと彷徨っていた所を「その人」が救ってくれた。
ー つづく ー
再び部屋に一人。
…どうしよう……。
中学生の頃、バカな男子同士で集まって「もしも女に生まれ変わったらどうする?」などと妄想トークを繰り広げた覚えがあるが、実際に、本当に「そうなってしまった」今のオレには、当時、描いていた「浪漫」のほんの一つも行動に移す事は出来なかった。
ただただ、その場に立ち尽す事しか出来なかった。
ある日、目が覚めたら突然オンナになっていたのだから、また急にオトコに戻るだろう。
そんな考えしか浮かばなかったオレはその日から一歩も部屋の外には出ず、寝ては起き、起きては寝るという生活を続けた。
3日経ち4日経ち、何の変化も無いままに一週間が過ぎた。
その間、親友が様子を見に来てくれた事もあったが、夏風邪が長引いていると言って誤魔化したり、居留守を使ってやり過ごした。
そして一ヶ月目。
精神はオトコのままではあったが、身体の方は完全にオンナになってしまった。
野球部の鬼監督にシゴかれた筋肉はすっかり落ちてしまい、何よりも、「あの日」がオレにもやって来た。
オレは学校も、親友も、家族も、全てを捨てる決心をした。
10万+aの貯金と僅かな食料だけを手にし、その他の一切をそのままにして部屋を出た。
しばらくして、恐らく家族が捜索願いを出したのだろう、新聞やテレビでもオレの事が取り上げられた。
警察は事件・事故の可能性も考えていたようだが、オレが発見されるはずも無かった。
やがて所持金も底を尽き、今いる場所がどことも分からず、行く当ても無くフラフラと彷徨っていた所を「その人」が救ってくれた。
ー つづく ー
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