虚無の使者
ひやりと過ぎ行く風
何からも温かさを感じない
いつからか
草、花、雲、空、
陽のひかりにでさえ
温もりを
感じ取れなくなった
景色はこの眼に
色無く映る
気がつけば
眼も肌も温かさを
忘れてしまっていた
この世界は何も無い
それならこの眼は
要らないだろう
伏せて何も見なくなって
本当に世界が冷たくなった
この眼が肌が
再び鮮やかな色を
見る日は来るのだろうか
再び温かさを感じる
陽のひかりは
現れるのだろうか
追い越して進み行く世界
その中に光る温もりに
触れたくて
必死で手を伸ばした
すぐ足元から迫る
虚無の気配を薄々と
感じながら
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