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プラチナリング・1

[376]  和華  2006-11-02投稿
10ヶ月前のある日、私は2年も付き合った彼と、別れた。…しかも別れは彼からの一方的なものだった。

彼との突然の別れに、私は泣きに泣いた。数日は目を盛大に腫らし、しばらくは食べ物もあまり喉を通らなかった。

…話は約10ヶ月前に遡る。
突然彼から呼び出された私は、彼に指定された、小洒落た喫茶店に大急ぎで行った。店に入る前、窓際の席をチラリと覗くと、そこにはすでに彼の姿があり、彼が私を見付けて手招きした。私は急いで中に入り、満面の笑みで彼のいる窓際の席に近付いた。

…──そう、ここが別れの舞台になるとも知らずに。


そして、この後待ち構える展開など知る由もない私が、「ごめんね。待った!?」と彼に聞くと、彼は普段通りニッコリ笑って、「ううん。俺も今来たトコ。」と答えた。

それを聞いて安心した私は椅子に腰かけると、「ところで、話って何?」と微笑みながら聞いた。(実はこの日は私の誕生日だったため、私は彼からのサプライズを期待して、この日の予定をワザと開けていたりした。)

すると予想に反して、彼は少し深刻そうな顔になり、「優香里…。大事な話があるんだ。俺たち、付き合って今日で2年になるよな?」と言った。
私は彼の深刻そうな顔に少し不安を覚えたが、彼は人をからかうのが好きだったから、「うん、そーだけど。それがどうしたの?」と、相変わらず微笑んだままで聞いた。

そしたら彼は私とは反対に、いよいよ深刻な顔をして、「こんな日に悪いけど…俺たち…別れよう。」とだけ私に告げ、それきりうつ向いた。

「…は?」

私はそれを聞いた瞬間、彼が何語を喋っているのか理解出来なかった。まるで彼がロボットになって、機械仕掛けの拙い音声で私に話し掛けているようで。

しばらく経って、やっと言葉の意味が理解できた時には、私の顔からは、完全に笑みが消えていた。冗談にしてはタチが悪すぎる。
やがて私の顔からは血の気が引き、表情筋が機能停止したみたいに、顔面蒼白・無表情になった。

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