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プラチナリング・2

[413]  和華  2006-11-02投稿
だけどその時の私は、言葉の意味は理解できていたけど、まだ頭が完全に受け入れてなかった。だから、うつ向いたままの彼に、「ちょっと…頭冷やしてくるね…。」とだけ言い残し、震える足で立ちあがると、フラフラと店の奥のトイレに向かった。

そしてトイレに行って、震える手でドアを開けようとした時。

外で甲高いブレーキ音が響いたと思ったら、突然店内に破壊音が轟いた。店のテーブルや椅子、照明や床も、僅かに揺れた気がした。続いて、店内にいた客が一斉に悲鳴をあげた。

私はハッと我に還ると、トイレのドアノブから手を離して、音のした方を見た。

そこには、信じられない光景があった。…──さっきまで私が座っていた窓際の席に、車がガラスを突き破って乗り出し、テーブルと椅子をペシャンコにしていたのだ。

…いや、ペシャンコにされたのはテーブルや椅子だけではなかった。当然、そこにいた私の愛する彼も、醜くひしゃげた車の下敷となっていた。

私は瞬間、絶叫した。

「い゛やぁぁぁぁぁぁッ!!」

そして一目散に彼の元へ駆け寄ると、かろうじてはみ出していた血まみれの手を握り、泣き叫びながら名前を呼び続けた。…しかし、ついに彼の口から返事が返ってくることはなかった。

そう、煙を噴いている車の下敷になって、彼は…死んだ。おそらく即死だった。

…彼は私に一方的に別れを告げて、私たちはそのまま本当にあの世(彼)とこの世(私)に別れてしまったのだ。

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